ニュースの論点No.158 次の世界を見据える

 「4月百貨店、79割減収、大手5社、臨時休業響く」202054日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「大手百貨店5社が発表した4月の売上高は全社が前年同月を79割下回った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言発令により、各社が相次ぎ店舗を休業したことが影響した。」とのことです。

 

 5社とは大丸松坂屋百貨店、高島屋、三越伊勢丹、そごう・西武、エイチ・ツー・オーリテイリングのことですが、軒並み大幅な減収となっています。百貨店自体を休業しているわけですから当たり前といえば当たり前のことであり、「ま、そりゃそうなりますよね」という感想しかありません。

 

 また、大手だけではなく、地方の百貨店も同様の状況です。こちらも大半が休業しているため、数字的には相当厳しい状況になっています。いずれにしても、新型コロナウイルスの感染拡大という大災厄が招いた窮境であり、今回ばかりは百貨店の経営努力だけでどうにかなるものではないでしょう。

 

 さらに百貨店自体が閉まることで、運命共同体であるアパレル企業(ワールド、TSIホールディングス、三陽商会など)や総菜のRF1なども軒並み厳しい状況であり、その余波は確実に広がっています。

 

 コロナ禍によって百貨店の主要顧客層である、シニア層と外国人観光客が街中から消えました。この状況では店を開けたとしても売上は伸びないでしょうし、開けたことで感染拡大を招くことも考えられ、当面は休業を選択するほかないでしょう。

 

 さて、ここで一つ疑問が湧いてきます。コロナが収束すればすべてが元に戻るのでしょうか。例えば3ヶ月、6ヶ月後には今までのように店舗は開けられ、イベントが開催され、週末には人でごった返すようになると思いますか?

 

 私はかなり難しいと思っています。今回のコロナ禍では震災や風水害、金融危機などと違い、インフラや金融システムが破壊されたわけではなく、その点では復旧に時間がかかることはありません。

 

 しかしウイルスはワクチンができたとしても、人々の「マインド」が変わらない限り、いつまでたっても人が動かない状況が延々と続く可能性があります(政府とマスコミにも問題あり)。そしてその状況を補完する商品やサービスがスタンダードとなる、つまり元の状態には戻らず、いわゆるニューノーマルの世界に一足飛びで進化するということです。

 

 ということで、百貨店にすべてのお客様が戻ることはないでしょう(戻ったとしても8割くらいかも)。もともと百貨店は時代とズレてきていた業態です。その役割は当の昔に終わっているのです。ウィズコロナ、アフターコロナと言われる時代に突入し、淘汰される速度は倍以上になります。業種業態はあっさりと消えてなくなりますが、人は変わることで生き残れます。特に経営者の皆さん。今与えられた時間を有効に使いましょう。