ニュースの論点No.162 延命のために支援を使うな

 「家賃支援給付金 6月下旬受付開始目指す 支給は7月以降か」2020528日、NHK NEWS WEBはこう題した記事を掲載しました。家賃支援給付金については、本年5月~12月の期間でいずれかの月の売上が前年同月比50%以上減少か、連続する3ヶ月の売上が30%以上減少した事業者が対象となっています。業種など詳細な条件はまだ公表されていませんが、多くの事業者にとって非常に助かる支援となるのは間違いありません。

 

 法人の場合、1ヶ月の給付上限は100万円です。家賃月額75万円までが23給付、75万円を超える部分が13給付となり、家賃月額225万円で1ヶ月あたり給付上限の100万円となります。6ヶ月分600万円が期間上限額です。

 

 個人事業者の場合、1ヶ月の給付上限は50万円、家賃月額37.5万円までが23給付、37.5万円を超える部分が13給付となり、家賃月額112.5万円で1ヶ月あたり給付上限の50万円となります。6ヶ月300万円が期間上限額です。

 

 ちょっと試算してみましょう。個人事業者として家賃15万円の物件を賃貸し飲食業を営んでいる場合、売上要件を満たすとして、23給付となりますので10万円が給付額となります。その半年分60万円が給付総額となり、期間中の手出しは30万円で済む計算になります。

 

 店舗にとっては、人件費に次いで負担の大きい家賃が半年とはいえ13になるのですから、これほど助かることはないでしょう。人件費についても雇用調整助成金がどんどんパワーアップしており、ここ数か月の急場は凌げる支援が整ってきています。

 

 ただ多くの事業者が助かる一方、単なる延命となる事業者も出てくるでしょう。結局、どんなに手厚い支援があったとしても、売上という収入がなければ継続した店舗運営はできないのです。

 

 この先、おそらく1年ほどたった後から倒産あるいは廃業する事業者がさらに増えてくると思われます。厳しい言い方ですが、本来ならもっと早く店を畳むべきだったところを、コロナ対策で無駄に延命させてしまっているのです。

 

 「無念にも廃業」といったニュースをドラマチックに流すマスコミにも問題がありますが、そういったお店は早かれ遅かれそうなる運命であり、むしろ早めの決断はキズが浅く、将来へ向けて選択肢が広がり、柔軟に動きやすい状況であることも多いのです。

 

 コロナ収束後、人の動きがあっという間に元に戻ることは考えられません。今後は近隣客から徐々に消費が戻り、その後各県をまたいだ動きが消費を拡大し、最後にインバウンド客が少しずつ増えていくことでコロナ前の状態に近づいていく流れとなるでしょう。

 

 その流れを現場で観察、洞察しつつ、頭と身体をフルに使っていかなければ確実に淘汰されます。これまで無為無策でやってきた店舗は即退場です。政府の支援は将来への借金で成り立っています。支援を利用したのならしっかりと利益を出し、納税をすることが貢献として当たり前に求められます。経営者として、「フリーライド(ただ乗り)」や「モラルハザード」はやってはならないことと肝に銘じましょう。