ニュースの論点No.163 危険な兆候

 「役員報酬削減、リーマン越え、161社、外食・小売顕著」202069日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「多くの企業の決算発表時期にあたる45月に役員報酬の見直しを公表した日本の上場企業は161社と、金融危機発生後の09年の同時期の107社を上回った」としています。

 

 やはり外食や小売りが目立つようで、外食・飲食業では約4割の企業が役員報酬を削減しています。役員報酬の削減率は2040%が多く、なかには5060%削減する企業もあるとのことで非常に厳しい状況がうかがわれます。

 

 上場企業ですらそうなのですから、財務的な体力のない中小零細企業はさらに大きなダメージを受けているのは想像に難くありません。私が関わらせていただいている企業でも、その多くが役員報酬どころか従業員の給与や家賃の支払いが難しくなっています。

 

 経営改善のセオリーとして、役員報酬の削減は1丁目1番地です。これは規模の大小を問わず、すべての企業に対して有効な手段と言えます。コスト削減は「やるかやらないか」ですので、やれば確実にその効果は表れます。

 

 役員報酬は一般的にその他の費用に比べその額が大きく、削減する効果も高い場合がほとんどです。もちろん経営者にも生活がありますので、計画性のない闇雲な削減は回避するべきですが、しっかりと数字の裏付けを取った削減は経営改善に際して率先してやるべきことの一つです。

 

 しかし中には報酬を下げたがらない経営者がいるのも事実。大半の経営者は自ら率先して下げようとしますが、痛みを現場サイドに押し付けて、自分はそのまま悠々自適な生活をするような経営者も存在するのです。

 

 数にしてみればそんなに多くはない印象ですが、そういったいわゆる「はずれ」の経営者に雇われている従業員の方々は、問答無用で給与を削減されたり(休業手当はもちろん払わず)、あるいは最悪の場合「解雇」されたり(解雇要件も満たさず、予告もなく、手当もない)と悲惨な状況を覚悟しなければならないでしょう。

 

 コロナ禍は経営者の価値観を浮き彫りにしました。そんな人だったのか…と普段との落差に幻滅するような状況もあると思いますが、大体においては「言動」や「行動」などに危険な兆候が表れています。

 

 残業代を出し渋ったり、有休を取らせなかったり、給与が遅れたり(論外)、レジから経費だといってお金を持っていったり、業績に相応しくない豪華な住宅や車を所有していたり、現場にほとんど来なかったり‥

 

 上記の例はいずれもわかりやすい兆候ですが、同様の行動が何回も見られた場合は早々の転職を考えたほうがよいでしょう。残念ながら改善は見込めず高い確率で破綻します。コロナ禍の今、従業員の方々も自分の身は自分で守る必要があるのです。