ニュースの論点No.164 都市か地方か

 「東京、人口1400万人超 コロナ禍4月 2万人増 一極集中止まらず」2020614日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「東京都は11日、51日時点で推計した都内人口が初めて1400万人の大台を超えたと正式に発表した。」としています。

 

 コロナが拡大した4月中も2万人増えたそうで、若年層の就職や進学が転入の主な要因とのこと。2000年には1200万人を超え、本年まで20年で200万人、年間10万人ずつ増えている計算になります。

 

 関東7都県を合わせた人口は増加率が下がりつつあるものの増えており、現在は約4300万人と日本全国の3割強を擁しています。

 

 さて、日本の人口はご存知の通り減少傾向(現在約12500万人、毎年450万人減少)が続いています。全体としては下がっている中で、ある地域の人口が増えているのは記事にもある通り転入が要因です。転入と転出はセットですから、どこかが増えればどこかが減ります。減少するのは当然地方であり、各地方の都市圏以外の地域は軒並み減り続けています。

 

 どの地方にも言えることは、各県の中心部から離れれば離れるほど人口減少の影響が大きいということです(当たり前ですが)。限界集落や消滅集落などが名詞として成り立つくらい、珍しくない現象になっています。

 

 さて、コロナ禍により、密のかたまりである都市文化に多少の揺らぎが出てきています。都市から郊外、田舎への回帰が始まり、地方の価値が上がるという言説もよく見るようになりました。さらに政府から「新しい生活様式」が発表され、今後は日本と言わず世界中でこれまでの生活、価値観の変化圧が高まってきそうな風潮です。

 

 とはいえ、私としてはそう簡単にこれまで連綿と続いた都市化の波が収まるとは思えず、むしろさらに都市化(都市に人口が集中)が加速するような気さえしています。結局のところ田舎は住みにくいわけで、都市と比べると生活全般に手間暇がかかります。人間関係にしても同様であり、これらは「田舎暮らし」に絶望して元の都市生活に戻る人が少なくない理由ともなっています。

 

 つまり、コロナのためにこれまで手にした利便性を捨ててまで、不便な郊外や人口が少ない地域に移動するのは考えにくいのです。感染症で言えば、古くは天然痘やペスト、スペイン風邪などで数千万人が死亡したと言われています。それでも人は利便性を求め、人が集まる都市を形成してきました。

 

 それほどまでに人が集まり、都市をつくるモチベーションが強いのは、それが人間の本能となっているからなのでしょう。今回の東京一極集中の記事については、国全体の人口が減れば減るほどその力が強まるような印象を受けました。人が集中することはリスクもある反面、それ以上のリターンがあるからこその動きです。よって、今後考えるべきは、単純な「密の回避」ではなく「密への回帰をどう無理なく実現していくか」なのではないでしょうか。