ニュースの論点No.166 断捨離をした後は

「ブランド品 断捨離急増 5月 中古買取2倍に」202071日、日本産業新聞はこう題した記事を掲載しました。都内の中古品買取業者によれば、ヴィトンやロレックス、モンクレールなどブランド品の買い取り件数が、4月は前年同月比で1.4倍、5月は2倍まで増加したそうです。コロナ禍で自粛期間が長引いたことにより、家の中を「断捨離」する人が急増したことで買い取り件数が増えたと見られています。

 

 また、買い取りが増えたアイテムとしては旅行バッグやスーツが挙げられています。コロナ禍で使えなくなったものを換金するニーズが増えているのでしょう。一方で断捨離の結果、買取業者に売る以外に「捨てる」量も増加しており、全国各地のごみ処理施設では持ち込みの量が大幅に増加し、10%以上増えたところも多数見受けられます。

 

 ただし、それに対して事業系のごみ(商業施設や飲食店など)は大幅に減少し10%から多いところでは半減している地区もあります。収集会社によっては相当な危機に直面しており、役員報酬のカットや従業員の自宅待機などの対策を講じざるを得ない状況となっています。

 

 さて、私は今回のニュースを受けて、改めて経済はあらゆるところでつながっていると実感しました。「人の動きを止める」ことが経済にとって一番の打撃となるのを痛感しました。いくらリアルでのやりとりをオンラインで補完しても、やはりすべてを賄うことはできず、実際に動き、自分の目で見て、会ってコミュニケーションすることがすべての起点であることを理解しました。

 

 23ヶ月動きが止められるだけでこのダメージですから、もし1年続いたら大半の人が路頭に迷うことになるでしょう。経済はまさに人間の体のように全体がバランスを取って機能しており、生産から消費、そして廃棄までが繊細につながっています。

 

 人の動きが止まれば、生産も、消費も、廃棄すらも機能不全に陥ります。そして短期間であっけなく臨終してしまうことがコロナ禍で実感できました。普段の生活ができるありがたさを感じるとともに、長年をかけて作られた経済の仕組みの脆さもよく理解できました。

 

 人々が断捨離をした後に、これまでと同様の消費行動をするかどうかは不明です。価値観が変わった人も多いでしょう。ただし、いずれにしても「人が動く」ことで経済、そして社会が成り立つのは疑いようのない事実です。コロナ禍の今、大変動きにくい状況ではありますが、可能な限り「動く」ことが経済再生の唯一の道です。感染防止対策に留意しながら、断捨離で身軽になった心と体で積極的に動くことが求められます。