ニュースの論点No.168 何でも売るのはいいお店?

 「6月既存店、セブン、コロナ後初の増収」2020715日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「セブンイレブンの国内の既存店売上高は6月に前年同月比1%増だった。」としています。

 

 コロナ禍の中、セブンイレブンだけではなく、ファミリーマートやローソンも3月から5月にかけて苦戦を強いられていました(コンビニの既存店売上高は45月で10%以上の落とし込み)。その中でようやくセブンが持ち直してきた状況です。

 

 ざっくり言えば、国内の一般的な人々の「日常」が戻りつつあるのでしょう。いわゆる「巣ごもり」状態であった5月までと比べ、通勤や通学をする人々も増加し、「通常モード」に切り替わってきているのを駅や繁華街でも確認できます。

 

 そもそもコンビニは、大半の店舗が近隣住民やオフィス利用者の普段使いとしての仕様になっており、日常の生活、人の動きが無ければ機能不全を起こします。コロナ禍の中では外出自粛が求められ、都度買い物をすることが難しく、食材をまとめて購入できるスーパーの存在感が大きくなり実際に売上を伸ばしていました。

 

 それが6月になってからは先述のようにセブンの売上が伸びたということで、人々の行動はもとより、「さすがにコンビニくらいはもう使ってもいいだろう」というマインドの部分でも元に戻りつつあることが読み取れます。

 

 とはいえ、コンビニ各社もお客様が戻るまでただ指を咥えていたわけではなく、消費者の意見も踏まえた品揃えで売上アップを図っています。具体的には保存がきく冷凍食品や家飲み対応でレモンサワーなどの在庫を増やし、まさに「コンビニ」としての役割を強化し、地道に顧客ニーズを拾っているのです。

 

 商売の基本である「顧客のニーズを把握し、それを商品・サービスとして提供すること」をコロナのような非常事態時もブレることなく継続することは、すべての店舗ビジネス経営者にとって絶対的な使命といえるのです。

 

 ただし、もともと自店では取扱いのない、また直接関係のないようなものを非常事態だからといって店頭に並べるのは止めた方がよいでしょう。最近の例でいえば「マスク」です。12か月前は、あらゆる店舗で普段取扱いがないにもかかわらずマスクを販売していました。

 

 皆さん軽く考えていたかもしれませんが、後々信用問題になる可能性が高く、非常にリスクの高い行動です。出所不明で品質にも疑問符が付くような商品を瞬間風速的な売上だけのために販売することは、自店の顧客を裏切っている側面もあるのです。

 

 「売上を取るためには何でもするような店なんだ…」顧客は口にこそ出しませんが、確実にそう思っています。店舗経営者の皆さん。自店が提供する価値は何なのか。顧客から支持されていることは何なのか。危機の時こそ自問自答し、ブレない経営を志向していきましょう。