ニュースの論点No.169 あなたの会社は生き残れるか

 「セシルマクビー撤退 平成アパレル、コロナで幕」2020722日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「女性向けアパレルのジャパンイマジネーションは20日、1020代向けブランドセシルマクビーの店舗事業から撤退すると正式に発表した」としています。

 

90年代から06年をピークにギャル系ファッションとして一世を風靡したセシルマクビーですが、ファストファッションの台頭など外部環境の影響を受けたことで数年前から失速しており、コロナによってとどめを刺された感じとなっています。

 

 当社が展開する店舗は9割が閉店し、残る4ブランドのネット通販を強化、従業員570人は大半が解雇されるとのことで、かなり厳しい状況だったことが読み取れます。

 

 近年はセシルマクビーだけではなく、同ブランド撤退の遠因ともなったファストファッションですら苦戦を強いられ、19年にはフォーエバー21やアメリカンイーグルが日本から撤退。H&M2020年内に世界の170店舗を閉鎖、ZARAの親会社Inditexは今後2年間で1000~1200店舗の閉鎖を発表しています。

 

 またファストファッションではありませんが、19年にはアメリカの高級百貨店バーニーズニューヨークが、そして20年にはブルックスブラザーズが破産法適用申請し、ブルックスブラザーズは日本国内10店舗を閉鎖する状況となっています。

 

 日本に目を戻すと202月期と212月期を合わせオンワードが1400店舗の閉鎖、レナウンは205月に民事再生手続きを開始しています。

 

 ここまでメーカーや小売など、アパレル企業に関連するネガティブな情報を順不同で羅列してみました。これらから判断するに、コロナ禍はあくまでブランド撤退や倒産のきっかけの一つにすぎず、アパレル業界の苦戦はそもそも構造的な問題が根深く、長期間蓄積した業界のひずみともいうべき、業界の仕組みや商慣習がいよいよ悪性腫瘍のように各企業を蝕んでいるのです。

 

 要は業界の当たり前が「時代と合わなくなってきた」ということです。シーズンの2年前にインターカラーが流行色を適当に決め、シーズン1年前には自己満足なコレクションで一部の人間だけがわかる(わかったふり?)新作を発表し、コレクションの変な服をアパレルメーカーが一般人にも着用できるように「普通」にデザインし直す。

 

各店舗では似たような色やデザインの服を仕入れ、似たような内装の似たようなレイアウトで陳列し、セール前提で割高な商品は付加価値も低く正価で売れないため毎年大量の在庫をバッタ屋で処分し、次の年には同じようなサイクルでパクったデザインの売れもしない価値の低い商品を大量生産する…

 

 ファストファッションも似たようなものです。企画から商品化、陳列までのスピードが早くなっただけで膨大なムダを生み出しているのですから同じ穴のムジナでしょう。

 

 お客様はバカではありません。ネットによりあらゆる物事の「カラクリ」が見えるようになり、昔からある不当な搾取の構造(要は詐欺まがいの商売)に皆気づいています。つまり、旧態依然として進化しない保身的な業界やブランドは簡単に見捨てられるようになったのです。

 

 加えてコロナのダメ押しです。昔から変わることもなく、体力もなく、支持率も下がり続ける企業は退場するしかありません。いつの時代でも「変わる」ことが生き残る絶対条件なのです。変わるためには、視野を広げ、かつ自分を客観的に見る必要がありますが、残念ながら視野狭窄な主観だけの企業、社長、社員が大半です。

 

さて、皆さんの企業はいかがでしょうか。