ニュースの論点No.171 不安な時こそ

「JAL、客室乗務員を地方配転、観光振興など20人」202085日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「国内外の路線の大幅な減便で客室乗務員の乗務回数は平常時の5割程度に減っており、人手が必要な部署に人材を再分配する」としています。

 

 コロナ禍で人の移動が制限される中、特に航空業界は厳しい状況が続いています。JALもその中の一つであり、航空機の利用者減に対応した大幅な減便で、これまで通りの働き方ができない従業員が増えています。記事はその一側面を表し、他にもさまざまな形で異動があると考えられます。

 

 不慣れな職場で新たな仕事を覚えていくのは大変なことですが、それでも社内で異動できればまだましな方でしょう。JALほどの大手であれば体力もあるため、ある程度の期間は従業員を解雇せず、多様な部署に配転させることができます。しかしコロナ禍で航空業界同様の影響を受ける観光、宿泊、外食業界などは小規模な企業も多く存在し、会社自体が消滅してしまうことも珍しくありません。

 

 帝国データバンクによれば、202084日現在で新型コロナウイルスの影響を受けた倒産は全国に408件とのことで、飲食店が最多、その後にホテル・旅館、そして食品卸、アパレル小売店と続きます。ただし、このデータには自らの意思で会社を清算する廃業は入っておらず、実質的にはさらに多くの会社が事業の継続を断念していると考えられます。

 

 その裏付けとなるのが完全失業率(62.8%)と有効求人倍率(61.11倍)の推移で、いずれも今年に入り大きく悪化しています。

 

 コロナは大半の業界に対して悪影響を及ぼしています。これを読んでいる経営者の皆さんの会社も、少なからず業績が厳しくなっているのではないでしょうか。現場の実感としても、また先述したようにマクロな数値としても相当なインパクトが確認できます。

 

 経営相談で「コロナの影響はいつまで続くのか」という質問をよく受けます。これに対し、少なくとも1年は見ておくべきで、完全に元に戻ることは難しいでしょうと私は答えています。皆さん先の見えない不安から、何かしらの答えが欲しいのは理解できます。しかしながら、あらゆる危機の時は自分で情報を集め、自分の頭で考えることが最も大事なことです。

 

 経営者であれば「あの人が言っているから」「あの人がやっているから」で行動を決めないようにしましょう。不安な中でも自らの責任で決断することが経営者の一番重要な仕事です。