ニュースの論点No.173 業態転換の行く末は

 「パルコ、シェアオフィスに20年秋参入 心斎橋に1号店」2020818日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「パルコは今秋にシェアオフィスの運営事業に参入する。第1弾として大阪市で秋に開業予定の心斎橋パルコ内に店舗を設置する」としています。

 

 主なターゲットをウェブデザイナーやイラストレーターなどのクリエーターとし、絵画や期間限定のショップ、クリエーターの作品などを展示販売する場を設け、相乗効果を狙うとのこと。

 

 まさにパルコの面目躍如たるようなシェアオフィス事業ですが、多少の今さら感は否めないですね。まあ、確かにコロナ禍によって実店舗ビジネスはさらなる苦境に陥っています。昔ながらのアパレル雑貨や飲食などを集めたテナント業ではまずやっていけない環境です。

 

 その中でクリエーター向けのシェアオフィスという新たな収益源をつくり、ウィズコロナ、アフターコロナ時代を乗り越えていく一つの軸としていくのでしょう。どこまで事業を拡大するのか不明ですが、シェアオフィス、クリエーターという組み合わせだけではそこまで成長は見込めないと思われます(最初から広げる気はないかもしれません)。

 

 パルコに限らず、業態を変化させていくデベロッパーは増えつつある印象です。大丸松坂屋百貨店が運営するギンザシックスは、新しい百貨店の形として2017年に華々しくオープンしました(といっても単なる場所貸しなので新しいのかは?)。

 

 マルイは過去5年で商品を仕入れて売る百貨店モデルから家賃収入を軸とするショッピングセンターモデルへと転換し、さらにD2C(ダイレクトトゥーコンシューマー、メーカーが自社で企画、製造した商品を自社のECサイトを用いて直接消費者に販売する仕組みのこと Wikipediaより)に力を入れつつあります。

 

 コロナ前から小売業各社の業態大転換は起こりつつありました。それが最近になって加速せざるを得ない状況になったということです。ただし、コロナ禍によって対策を始めた企業はすでに遅すぎの感が否めません。

 

 何もしないよりはましですが、あまりプラスにはならないと私は思います。結局は単なる「対策」であり、長期的に考えていたわけではないからです。いわゆる対症療法であるため、顧客が付きづらく、あっという間にサービスが終了する可能性もあります。

 

 正解がない中で、経営判断も非常に難しい局面です。何かしらの手を打つことは大事ですが、今回のパルコが行うシェアオフィス事業に関しては少し難しいのかな…と感じた次第です。