ニュースの論点No.175 修学旅行の代わりに

 「バーチャル修学旅行 JTB まずは奈良、京都」2020831日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「JTBは全国の小中高校を対象に、仮想現実(VR)と実体験を組み合わせた修学旅行商品の提供を101日から始める」とのこと。

 

 観光地をVRで巡る体験はもとより、旅先の人たちとのオンライン交流、伝統工芸を学校で体験できるようなサービスになるようです。また、「サービス価格はVR映像の体験が生徒一人あたりで税別4800円で先生は無料。追加のオプションで価格が変動する」ということです。

 

 JTBHPによれば、オンライン交流に関しては、舞妓、旅館の女将、バスガイド、タクシー運転手などと交流できるそうで、伝統文化体験として清水焼、漆器、扇子、友禅染、お土産販売は修学旅行ならではの思い出に残るお土産が用意されていると公表されています。

 

 コロナ禍により人の移動に制限がかかっている今、JTBのサービスは「体験型学習」としてはなかなかよくできていると感じました。サービス自体はこのご時世で「苦肉の策」として生み出されたものと思われますが、単にVRで観光地を巡るだけではなく、地元の方々との交流や伝統工芸体験などを組み合わせているので、より豊かな経験ができるような感じはします。

 

 ただ、身もふたもない言い方をすれば、どんなによくできたサービスだったとしても、やはり生で体験する価値には到底及ばないでしょうから、その点ではJTBの方々も歯がゆい思いをされているのではないでしょうか。

 

 しかも、コロナ騒動が収束すれば、単なる一過性のサービスとして終わる可能性も大いにありますので、思い切って振りきれないやりきれなさもあるでしょう。

 

 とはいえ、何もしないで指を咥えて見ているだけではなにも始まらず、何かしらの対策で乗り越えていくしかありません。そんな中で生まれたサービスですが、工夫次第では一過性のもので終わらず、今後さまざまな活かし方ができるかもしれません。

 

 海外旅行のVR化はすでに進んでいます。また、旅行に行けない人がVRで同行できるサービスもすでに展開されています。これらを考えれば、修学旅行も日本全国リアルタイムで観光地を巡り、個人が行きたい場所が選べれば楽しそうです。

 

 が、そもそも修学旅行と言う形にとらわれていると、それを同様に再現するためだけにリソースを使ってしまい、単に似せたものとなり、魅力もなく、当然価値も下がります。「結局はやっぱり現地に行かないと…」とならないためにも、修学旅行の目的、そして求められる効果を徹底的に考え、修学旅行ではない新たなサービスを開発する良いきっかけとしたいところです。