ニュースの論点No.178 進退を決めるのはいつ?

 「テナント1140店純減 16月 モールに迫る空洞化の足音 コロナ禍 客数減で悪循環」2020923日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「大型商業施設の空洞化懸念が出ている」「全国約2800か所の商業施設をまとめた。アパレルや外食を中心に、期間中に1140店のテナントが純減」としています。

 

 16月の出店数は722210.8%減)、退店数は83624.9%増)で、データがある16年から純減は初めてとのこと。また純減の内訳はファッション・雑貨が842店舗と7割以上を占めています。続いて飲食は116店、生活雑貨が114店となっています。

 

 飲食店がコロナ禍でかなりダメージを受けているのは、マスコミ報道により周知の事実です。しかしそれよりも圧倒的にファッション関係の店舗が減少しています。このことは意外と世間に知られていないのではないでしょうか。

 

 私もアパレル業界に店舗経営者として関わっている身として、記事のような現実を、まさに目の当たりにしています。少なくとも私の周囲にあるほぼすべての店舗が前年割れで、前年比60%台が大半を占めており、かなりの苦戦を強いられています。撤退する店も少しずつ出始めました。

 

 ここ数か月、アパレル小売店ではコロナ禍で客数が激減しています。各メーカーも売れないがゆえに、また今後の収束も見えないがゆえに、通常より少なめの生産数にせざるを得ません。そうなると売り場ではお客様も少ない、在庫も少ない中で売上を取っていく必要があります。加えてリモートワークが広がり、「自宅での仕事」が日常となったこともアパレル業界の足を引っ張ります。

 

 もっとも、コロナ禍だけがアパレル苦戦の理由ではありませんし、売れない理由を並べることに意味もないでしょう。今、経営者にとってするべきは「これからどうするか」を自らに問うことであり、そこにはっきりと答えを出すべき時なのです。店舗を続けるのか否か。続けるとすれば、ヒトモノカネ情報などの経営資源を使ってどんな計画を立て、どう実行していくのか。続けないのであれば、いつまで営業して、その後の従業員の再就職、また撤退作業や清算はどう段取りするのか。

 

 いずれにしても、今後の店舗経営を継続するのか否かは「今」決断すべきです。遅くなるとキズが相当に深くなります。続けるにしろ、やめるにしろ、決断が遅ければ遅いほど不利な状況になります。焦りすぎは禁物ですが、早めの決断は間違いなく皆の将来をプラスにします。

 

 違う道に進むのか。それとも同じ業種業態で改めてスタートしなおすのか。自分自身で決断することで、より前向きな行動を促せます。デベロッパーから言われて‥、あるいは大家から言われて‥、はたまた家族から言われて‥など、周りの意見に流されつつ、やむを得ず受け身で取った打ち手では、誰にとっても厳しい未来しかありません。主体的に「決断」することは、経営者にとって最も優先される仕事であると認識しましょう。