ニュースの論点No.179 なりふり構わずに

 「外食 業態転換を加速 ロイヤル・吉野家 宅配専門店参入 コロナで1540%減収」2020929日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「レストラン大手のロイヤルHDと牛丼チェーン大手の吉野家HDは宅配事業に参入する。家賃や人件費を大幅削減できる宅配を増やし、縮小する市場で利益が出せる収益モデルを探る」としています。

 

 コロナ禍で飲食店は大打撃を被っており、テイクアウトやデリバリーを導入することで苦境を乗り越えようとする店舗が相当数増えています。テイクアウトは店舗での提供のため、新たな投資もそう多くなくハードルは低い一方、デリバリーはお客様のもとに配達しなければならず、自前でやるにはある程度のノウハウが必要です。

 

 もっとも、最近では外部委託も盛んに行われ、出前館やウーバーイーツといった料理宅配業者に配達を委託することで店舗側の負担が軽減し、デリバリーサービスが容易に導入できる状況ができつつあります。

 

 ただし、いずれのサービスも当然手数料がかかるため、大半の場合デリバリー価格は店舗価格よりも高く設定されます。ちなみに現在のサービス利用料はウーバーイーツが売上総額の35%、出前館が40%+決済手数料(~3%)となっています。※出前館は飲食店支援特別価格として期間限定で7%軽減中。

 

 手数料としてはなかなかに大きく、飲食店側は手数料分すべてではないにしても、価格に上乗せしなければ利益が吹っ飛びます。その匙加減も難しく、店舗に利益が残り、顧客が妥当と思う価格設定を試行錯誤して決めていかなければ、デリバリーが経営の足を引っ張ることにもなりかねません。

 

 本記事のロイヤルHDと吉野家HDは、ウーバーイーツや出前館に配達委託をするとのことで、「宅配専門店」にすることで出店や運営費用など大幅なコスト削減をおこない、高い収益性を実現するとのこと。記事には「将来は宅配を収益の柱にしたい(吉野家)」とあり、大手ならではの非常に効率的な店舗運営が考えられているのでしょう。

 

 デリバリー利用者は、今年3月の約350万人から7月には約600万人と大幅に増えています。コロナの影響がすぐに収まることは考えられず、この傾向は今後も続くことが予想されます。つまり店舗に来店する人がコロナ前よりも確実に「減る」わけです。7割程度までしか戻らないという話もあちこちで聞かれます。

 

 現状、大手や個人など関係なく何かしらの手を打つ必要があります。本記事の動きはそれを如実に表しています。とはいえ個人店では宅配専門店の展開は難しいため、既存店を運営しながら、配達委託をうまく使うことでデリバリーに参入し、積極的に売上を取りにいく必要があります。「ウチはやれない」ではなく、「どうしたらやれるか」を考えましょう。

 

 皆必死です。誰も他に構っている余裕はありません。なりふり構わず、自分の店は自分で守る強さを持っていきましょう。明るい未来は自分の手で開くものです。