ニュースの論点No.27 食べ放題は儲かるのか

20171026日、毎日新聞は

「かっぱ寿司が「1貫売り」食べ放題は

全店で」と題した記事を掲載しました。

 

記事によれば、回転ずしチェーン「かっぱ寿司」を

展開するカッパ・クリエイトは寿司の1貫売りを

11月下旬から始めるということです。

 

女性や年配のいろんなネタを食べたい、という声に

応えたそうで、首都圏の10店舗で展開するとのこと。

 

また、今年6月から店舗限定で実施していた

「食べ放題」を全348店舗に拡大します。

 

11月1日から22日までの平日2~5時に実施し、

男性1580円、女性1380円で60分間80種類が

食べ放題となります。

 

それとは別のニュースで、同日のITmediaによれば、

関東で15店舗を展開する「野郎ラーメン」が

月額8600円の食べ放題プランを提供します。

 

1日1杯まで、ということですが、同社は

「もっと気軽に安く、食べ盛りの野郎世代に腹いっぱいに

なっていただきたい。赤字覚悟のサービス」としています。

 

さらに別のニュースでは、カフェでは珍しく、

コーヒーやラテの月額飲み放題システムを導入している

HANDEL’S CAFÉ(ハンデルス カフェ)」が

横浜に続き、東京の池袋東武に10月5日オープン。

 

月額飲み放題は通常5800円となっており、

9種類が飲み放題でサイズ、回数ともに制限が

ないとのこと。

 

この3つのニュースに共通するのは、

定額でほぼ無制限のサービスを受けられる

店舗だということです。

 

ただ、「単発の食べ放題」と「月額での使い放題」は

共通点もある半面、大きく異なるビジネスモデルであり、

その違いを知る必要があるでしょう。

 

まず食べ放題モデルから見ていきます。

このサービスは今に始まったものではなく、

日本で食べ放題の第一号は1957年、

帝国ホテルのレストランで始まった、いわゆる

「バイキング」です。

 

詳細は省きますが、もう食べ放題形式が始まって

60年という年月がたち、今やあらゆる業態で

このサービスが使われています。

 

現在は継続して食べ放題を行っている店舗も

多々あります。焼き肉店などは食べ放題が多いですね。

 

通常であれば、単価が高く遠慮しながら注文するような

メニューが、定額で食べ放題となればお得感や満足感も

高くなります。

 

食材が常に安く大量に調達でき、シンプルで加工の少ない

提供方法が可能であれば、継続した食べ放題のモデルに

向いていると言えるでしょう。

 

一方で話題作りや集客の目玉として、一時のイベントで

食べ放題をおこなう店舗もあります。普段は高価な

スイーツやフレンチなどを食べ放題イベントで

行うのは良い例です。

 

このように食べ放題といっても様々な形がありますが、

そもそも食べ放題サービスはどのような

収益構造になっているのでしょうか。

店舗は儲かるのでしょうか。

 

答えを先に言ってしまうと、本当に集客のためだけに

赤字覚悟でやるようなものを除いて、

食べ放題でもしっかりと利益を出すことはできます。

 

具体的な事例で考えてみましょう。

飲食業の原価率は平均30%となっています。

粗利率は70%ということですね。

 

普段800円のランチを出している店があるとします。

800円のうち、店舗の粗利は560円(原価240円)

となります。

 

30名の来店があれば、16800円の粗利が出ます。

 

ここである日のランチを1600円の

ビュッフェスタイルにします。

 

※細かい部分は除いてわかりやすく単純に考えます。

ご了承ください。

 

原価を同じと考えると、お客様がこのビュッフェで

普段のランチと同質同量のものしか食べなければ、

原価は240円ですので店舗は1360円の粗利が出ます。

 

まあ、食べ放題で普段と同量の消費は

考えにくいですし、選ぶ食材も高価なものを

選ばれるでしょう。

 

では思いっきり頑張って、お客様が普段のランチを

大きく上回る量と高価な食材を消費したとしましょう。

 

原価を普段の2.5倍にすると600円となり、

粗利は1000円となります。

 

普段のランチと同じ30名のお客様が来店されれば、

30000円の粗利となります。

 

普段のランチからすると、

13200円粗利の額が増えます。

同じ客数で利益が178%増えるということです。

 

かなり単純化して考えていますので、

色々と突っ込みどころはありますが、

基本的にはこのように考えることができます。

 

そして重要なのは、ビュッフェスタイルに変えても

家賃、光熱費、人件費などいわゆる固定費と

呼ばれるものがほとんど変化しないことです。

(わかりやすいように単純化しています)

 

固定費が変わらず、売上、利益が増えるということは、

店舗の生産性が高まっているということです。

 

当然、食材費は仕入れる量が増える分上がりますが、

お客様一人当たりの利益額は上がり、

利益を出しやすくなります。

お客様の満足度も高まります。

 

また調理済みのメニューを並べることで、

その都度調理する手間が省け、セルフサービスに

することで作業効率は上がります。

食材の大量購入で原価も下げやすくなるでしょう。

 

以上のように食べ放題には店舗にとってメリットも多い半面、

デメリットもあります。

 

客層の変化による既存顧客の離反や、

食材の廃棄量の増加などです。

 

店舗は来店する客層もサービスの一つです。

安くお得なものが好きなお客様と、高くても

良いものが好きなお客様の価値観は当然違い、

同じ店に混在すると雰囲気がちぐはぐな感じになります。

 

自分が好む雰囲気が普段と変わってしまうことを

嫌がる人は実は結構多いのです。

そういう事が続くと、間違いなく離反につながっていきます。

 

そして食べ放題にすると食材の廃棄も当然増えます。

どんなにうまく在庫管理をおこなっても、

必ず残るものが出てきます。

 

種類や量の少ない食べ放題ほど魅力が

ないものはありません。

したがって食材の廃棄は食べ放題の宿命ともいえるでしょう。

 

以上のほかにもいろいろと問題はあります。

細かい問題を挙げればキリがないですが、

これらをクリアすることができれば、

食べ放題も戦略の一つとして取り入れて

みてもいいでしょう。

 

 

さて、ここからはもう一つの○○放題である、期間による

定額での使い放題、いわゆるサブスクリプションに

ついて考えていきたいと思いますが、紙幅の都合により、

次回のニュースの論点にてお送りいたします。

どうぞよろしくお願いいたします。