ニュースの論点No.30 小売店の今後を考える

日本経済新聞は20171121日、

「JR東、会計AIで無人店」と題した記事を

掲載しました。

 

記事によれば、JR東日本はシステム開発の

サインポスト(東京・中央)と連携し、

大宮駅(さいたま市)で無人店舗の実証実験を

始めたということです。

 

無人店舗の広さは約27平方メートルと、標準的な

コンビニエンスストアの4分の1程度でおにぎりや

飲料、菓子類など約130種類の商品を売ります。

 

客は入り口のゲートでICカードなどをかざし、

入店します。出口まで来ると壁掛けのディスプレイに

購入する商品名と会計金額が数秒で表示され、

これをカードで支払います。

 

会計の作業は人工知能(AI)がおこない、

客が商品を手に取ると、AIは棚の前や天井の

カメラを通じて「商品が棚から1個減った」と

認識し、金額を加算する仕組みです。

 

AIに購入客の行動を学習させ、将来的には

通常のコンビニ並みの広さや品ぞろえの無人店舗を

目指しています。

 

この無人店舗と似た仕組みのものに、

ネット通販最大手のアマゾンが201612月に

計画を明らかにし、試験店舗をシアトルにオープン

させている「AmazonGO」があります。

 

また、お隣の中国でも少し趣が違いますが、

無人コンビニ「ビンゴボックス」が

展開されています。

 

さらに話を日本に戻すと、このメルマガでも

すでにお伝えしているコンビニの軽食自販機への

参入が相次いでいます。

スーパーも含め、無人レジもじわじわと増えています。

 

それぞれの仕組みの詳細やその良し悪しは

置いておきますが、この流れから何が

読み取れるのでしょうか。

 

キーワードは「無人化」「自動化」です。

 

AIなどテクノロジーの進展により、

これまで人がやっていたレジ業務など

比較的単純な仕事が人から機械へどんどん

置き換えられているのです。

 

日本では背景に人手不足の影響もあり、

この流れがさらに加速していくのは

必然だと言えるでしょう。

 

いわゆる最寄り品といわれる商品を

扱うコンビニやスーパーなどの小売店は

基本的に1点単価が低く、利幅も薄い業態です。

 

そのためレジ以外はほぼセルフサービスでの

オペレーションとなっていましたが、

無人化、自動化が進むことで様々な意味で

ボトルネックであるレジ業務がなくなれば

運営効率はさらに改善されます。

 

利用者側から見ても、レジ待ちのわずらわしさ

から開放され、ストレスなく買い物をすることが

可能となります。

 

さて、小売店舗のサービスにおいて全く人が

介さないようになると、店舗における強みや

独自性を引き出していくためには、何がポイントと

なるのでしょうか?

 

これは今でもそうですが、「立地」と「品揃え」

という当たり前の部分が店舗の業績に対して

さらに大きなウェイトを占めるようになるでしょう。

 

小売店はそもそも付加価値を付けづらい業態です。

基本的に他から仕入れたものを商品として売っている

ということは、どこにでもあり、物自体の希少性は

当然低くなります。

 

結果として競合他社と価格競争をすることになり、

どんどん利幅は薄くなっていきます。

特に生活必需品ともなれば、いかに安く済ませるか、

という消費者心理もあります。

 

この点、品揃えと利便性でいえば、ネット通販が最強です。

時間の制約が無ければ、無数の商品群から選択でき、

自宅まで届けてくれます。

 

一方のリアル店舗はその広さにおいて物理的に限界が

ありますので、品揃えは絞り込む必要があります。

 

何を置いて何を置かないのか。

 

今後の小売店は立地もさることながら、

その商品に対する圧倒的な選択眼が

業績を左右することになるでしょう。

 

今回取り上げているような無人化、自動化などで

極限までコストを削減してもそれはあくまでも

店舗としての機能が向上しているだけで、それを

やったからといって直接的に売上が伸びるという

ことではありません。

 

小売店の店舗としての独自性は今後さらに

重要になってきます。

 

その独自性をどこで出していくのか。

人的サービスなのか、物の価値なのか。

その両方を取るのか。

 

店舗経営者の皆さんは、まずその方向性を

はっきりとさせてください。

それがこの時代を生き残る最初の一歩となります。