ニュースの論点No.32 年中無休は誰のためなのか

  日本経済新聞は20171130日、

「外食 無休 もう限界」という記事を

掲載しました。

 

 記事によれば、深刻な人手不足が続く

外食産業で、年中無休のビジネスモデルを

転換する動きが広がってきているとのこと。

 

 居酒屋大手のテンアライドは全店で1231日を

休業するほか、最大手のモンテローザは店舗ごとの

定休日を本格導入します。

 

 他にロイヤルホストは171月までに全店で

24時間営業を停止し、深夜帯の営業を取りやめます。

 

 各社が休業日の導入や営業時間の短縮に

踏み切っている最大の要因としては、

やはり“人手不足”です。

そしてそれに伴う人件費の高騰です。

 

 何も問題が無ければ、そのままの営業日、

営業時間で続けていたと思われますが、当コラムでも

たびたび取り上げている通り、本当に人手不足は

かなりひどい状況となっています。

 

 大手の対応はセンセーショナルに報道されますが、

それ以外にも人がいないことでひっそりと閉鎖される

店舗は中小零細企業、個人を含めて日本全国に数多く存在します。

 

 私の身近でも、特に飲食店は強い影響を受けているのが

目に見えてわかります。

 

 廃業や営業時間の短縮、休業日の設定はもはや

日常茶飯事となっており、経営者にとっては

非常に切迫した問題となっています。

 

 人手不足に対する解決策としては、営業時間の

見直しのほかに、無人化、自動化などの高効率運営を

推進する動きもあります。

 

 また留学生など外国人労働者を積極的に

採用し、日本人に代わって戦力としている企業も

多く見受けられます。

 

 以上のように様々な対策を講じ、この厳しい

人手不足を乗り切っていくために各々が必死に

切り盛りしているのが飲食業界の現状といえます。

 

 もっとも、これは飲食業界だけではなく、

店舗ビジネス全般で言えることですね。

 

 しかしながら、これも当コラムでたびたび

お伝えしていることですが、人手不足は今だけ

の現象です。

 

 その理由としては、まずAIの活用やさまざまな

自動化のテクノロジーの進展が挙げられます。

あらゆる単純労働はヒトから機械に移りつつあります。

 

 この動きは飲食業界に限らず、2極化を

促進させるでしょう。すなわち人によるフルサービスで

高価格帯の業態か、自動化でセルフサービス、低価格帯な

業態の2極化です。

 

 高価格な人によるサービスは一般庶民にとって

日常に使うものではなくなり、人による作業が少ない

店舗が増加することで求人のモチベーションは

下がります。

 

 さらに国内需要の減退が進んでいくことです。

そもそも日本の人口は減少し続けており、2016年

10月時点で1億2693万人と6年連続で減少し、

ピークだった08年から110万人減っています。

 

 1年間の死亡者数から出生数を差し引いた自然減は

約30万人となっており、年々その減少幅は広がっています。

 

 人口構成も65歳以上が約3500万人で全体に

対する割合は27%と3割近くになっています。

 

 消費はある程度の収入が無ければ鈍り、

特に不必要なものから削られます。

65歳以上となると現役世代と同様の収入は難しく、

外食はもちろん最初に削られる可能性が高いでしょう。

 

 また近年、外国人の入国者数は増えているものの、

継続した需要の増加になるのかどうかは不透明です。

 

 こういった環境の変化は徐々に、確実に進んでいます。

ただ目に見えて変わっていくわけではないため、

実感しにくいものとなっています。

 

 実感は出来なくても、経営者は今起こっていること

をしっかりと洞察しなければなりません。

 

 今だけの現象を切り取って見てもただの

対症療法にしかなりません。そういった対症療法ではなく

問題の根本を掘り起こし、業務全般をゼロベースで

見直す必要があります。

 

つぎはぎだらけの対症療法は、本当の解決には

つながりません。でなければ永遠にモグラたたきをする

羽目になります。

 

 「人手不足だから」といって、営業時間の変更や、テ

クノロジーの活用をすることも、いまはもちろん必要なことです。

 

 しかし問題の本質はそこではありません。

店舗ビジネスの根源は、店舗に関わる一人一人が価値を

生む仕事をつくりあげることです。

 

 そしてこれからはヒトがやる“意味”が問われます。

作業的な仕事は価値を生み出さなくなってきています。

長時間休みなく営業することが価値を生み出すことも

ないのです。

 

そもそも24時間営業である必要があったのか?

 

 お客様のためではなく、競合に負けないようにするため

年中無休にしているのではないか?

 

 店舗経営者の皆さんは、これを機会にぜひ考える時間を

つくってみてください。

そうすることで環境に飲み込まれず、自信をもって経営を

おこなう基盤がつくられるのです。