ニュースの論点No.44 後継者はつくるもの

 

 日本経済新聞は2018227日、「大廃業時代 後継者いない 悩む中小」と題した記事を掲載しました。記事によれば、「日本の企業数の99%を占める中小企業の多くが廃業の危機に立たされている。中小企業の70歳以上の経営者245万人のうち、約半数の後継者が未定だ。このままでは22兆円の国内総生産が失われる恐れがある。」としています。

 

 製造業だけではなく、老舗菓子店など様々な業種の企業が黒字経営でも廃業を余儀なくされています。廃業は倒産と異なり、経営状況の悪化というより主に後継者不在が原因でやむを得ず選択される場合が多いといえます。

 

 それにしても約120万社の後継者がいないというのはかなりのインパクトです。東京商工リサーチによれば、2017年の休廃業数は28千件とこの10年で3割増えています。そしてその半数は黒字経営でも後継者が見つからず、廃業しなければならない状況となっています。国や自治体は様々な打ち手を講じていますが、まさに焼け石に水といった様相を呈しています。

 

 ところでなぜこういう状況になっているのでしょうか。その要因は複合的なもので一概には言えません。マクロ的な視点でいえば人口減少が要因の一つともいえるでしょう。一方ミクロな視点で一つ大きな要因として挙げられるのは、創業経営者は得てして自身がずっと会社経営に携わっていたいという思いがあります。これは私自身が関わってきた会社を見ていても感じることです。つまり経営者自身が後継者をつくろうとしてこなかったことが要因であり、自分で自分の首を絞めている状態だともいえます。

 

 特に現在の70歳前後の人たちは団塊世代で人口も多く、高度経済成長の中心として日本経済を引っ張ってきた自負があります。そのエネルギーもやはり強く、自分の目の黒いうちは…とすべての意思決定に関わり、私がここまで会社を育て上げたんだという経営者が多い印象です。

 

 もちろんそうではない経営者の方も相当数いるでしょうし、ワンマン経営が悪いとも思いません。メリットも多くあったでしょう。しかし、現在のこの状況は経営者次第で避けることができた企業も多かったのではないでしょうか。

 

 いまさら言っても始まりませんが、今後同じような状況にならないためにも、今まさに企業経営されている方は、自身の会社をいつか譲る日が来るということを念頭に、後継者づくりを行うことが求められます。

 

 弊社にご相談に来られる経営者の方も、スタッフの今後を親身になって考え、どうすればいいか迷いながら試行錯誤を繰り返し、それでも答えが出ないといった方が大半です。

経営者に求められることは、まずはその育成の仕組みを作り、スタッフに対して最初からその選択肢を提示し、その仕組みを徹底して厳格に運用することです。

 

 それは単にマネジメントの仕事を教えることだけでなく、実際に経営をさせる、すなわち独立させて経営者を経験させることも一つの策です。後継者はすぐに育ちません。人と会社の将来をつくるのはほかでもない、経営者であるあなた自身なのです。