ニュースの論点No.45 店舗案内を誰に任せるか

  

 日経×TECH201831日、「Amazon Echo活用で日本初、パルコが狙うゼロ円接客」と題した記事を掲載しました。記事によれば、「パルコは2018年内にも東京・池袋の大型商業施設池袋パルコで来店客向けの店舗案内に活用する。Echoを店舗案内に利用するのは日本初。世界的にも先駆的な取り組みだ。」としています。

 

 また「複数のフロアのエレベーター前などに、EchoAndroidタブレット端末を設置。来店客がEchoにアレクサ、○○というお店はどこ?と話しかけたときに、Echoの音声と、連動して動作するタブレットの画面によって店舗の場所を示す。」

 

 「従来、入り口付近のインフォメーションカウンターに店舗案内スタッフを配置していたが、上層階で行先に迷った来店客への案内が課題になっていた。」とのこと。

 

 これは誰でも考えつきそうですが、ありそうでなかったサービスであり、導入するにあたってはテクノロジーやコストの問題があるためそう簡単には実現しません。それがようやく諸般の問題に対応し、実際に使えるレベルのものが市場に出回ったことで、サービスの導入に踏み切れたと言えるでしょう。

 

 Amazon Echoはアマゾンが開発したスマートスピーカーで、人工知能を用いたAIアシスタントの「アレクサ」を搭載しています。スピーカーに話しかけると、音楽の再生や天気、ニュースの読み上げなどをしてくれます。話せば話すほど語彙が増え、話し方や好みを学習することができます。価格は上位機種でも17,980円と非常にリーズナブルでコスト面での競争力もあります。AIスピーカーは複数の企業が開発しており、今後はさらに機能が拡張されることで、家庭ではもとより企業でもその存在感は増していくでしょう。

 

 記事をさらに見ていくと、「ログデータを生かして、案内看板を増やしたり、店舗レイアウトを変えたりして、池袋パルコ全体の使い勝手を高めていく」ともあり、単純な店舗案内だけではなく、データを積み重ねることで、今まではつかみきれなかったニーズを読み取り、よりよい顧客体験を実現する手段としても活用していけそうです。当然外国語にも対応することは容易ですので、増え続けている訪日外国人へのサービスとしても喜ばれるでしょう。

 

 店舗案内など、明確な答えがある場合は人的サービスではなく、こうしたテクノロジーを活用したサービスの方が相性はいいと考えられます。今後、インフォメーションカウンターのサービスはヒトからAIやロボットに置き換わっていくでしょう。

 

 他方、百貨店など人的なサービスが要求されている場合はこの限りではありません。しかし、百貨店をはじめとした小売サービス業も、すべてではなくとも使えるものはどんどん取り入れる姿勢は必要です。

 

 業界が成熟しているとどうしても新たな流れに乗れず、既存の仕組みのまま取り残されがちです。いわく、お客様が求めていない。うちの業界とは合わない。逆にわかりにくくなる。クレームになる。などなど…

 

 何でもかんでも新しいモノやコトを取り入れるのが良いとは言いませんが、成熟した業界やその中の老舗企業が変わろうとしない理由は、「今までどおり」が自分たちにとって一番やりやすく、わざわざ変えてストレスを感じたくないからです。いわゆる「現状維持バイアス」です。この考えはすぐに捨て去っていただきたいと思います。

 

 こちらがサービスと思っていることがお客様にとってはまったくそうではないことも実は多く存在します。時間をかけすぎて過剰なラッピングやオープン時に全員並んでのお辞儀、店外までの必要以上のお見送りなど…

 

 変えるべきは変え、自社の根幹となるサービスは徹底して行う。他社がやっているからとか、昔からやっているから…などは今やる理由になりません。特に環境が激変する現在においてそんな悠長なことを言っていてはすぐに淘汰されます。店舗経営者の皆さんは環境にのまれないように、確固たる理念をもって経営をおこなってください。

 

 自社で提供しているサービスはお客様にとって今必要なサービスですか?

 

 単なる自己満足になっていませんか?