ニュースの論点No.50 しまむらとユニクロは同じ業態?

 日本経済新聞は201843日、「デフレ優等生明暗 しまむらは9期ぶり減収 ユニクロは国内好調維持」と題した記事を掲載しました。記事よれば、「カジュアル衣料品や外食などの分野で代表的なデフレ銘柄の業績に明暗が出始めている。ヒット商品の乏しいカジュアル衣料品大手のしまむらの20182月期の連結売上高は9年ぶりの減収となる一方、機能性を高めた商品が好調なユニクロの国内販売は好調を維持する」とのこと。

 

 しまむらの182月期の売上は5661億円で、前期の5654億円から微減となっています。営業利益は182月期が297億円で、前期は328億円と10%減。

 

 一方のユニクロは179月から182月の国内既存店売上高は前年同期比8.4%増。こちらは半期で双方の単純な比較はできませんが、しまむらと比べればユニクロが好調と言えそうです。

 

 この2社は低価格衣料品専門店の代表的な例として、しばしば比較分析されます。

 

 しまむらは各衣料品メーカーからの仕入れを中心にし、自社企画のPB比率は2割程度となっています。仕入れがほとんどであることから、店頭で展開するアイテムの種類を圧倒的に豊富にすることが可能となります。しかもそれぞれの在庫点数をあえて少なくすることで店頭のにぎやかさを演出し、お客様にとっては人と被らない、自分だけのモノを探す、選ぶ喜びを提供する業態を確立しています。     

 

 ユニクロは製造小売業の名の通り、自社で企画開発、生産、販売までを一貫しておこなっています。デザインのバリエーションが豊富というよりは、必需品ともいえるシンプルな定番アイテムを自社開発の機能素材を使って大量生産し、その在庫数に厚みを持たせ大量に販売する業態です。ヒートテックやフリースが代表的ですね。

 

 こうして比較すると、しまむらとユニクロは全く違うビジネスモデルだということができます。一見2社は低価格衣料品を扱う同じような業態に見えますが、その実、衣料品という共通項はあれど、全く異なる経営手法が必要になってきます。

 

 低価格な中に、しまむらには独自性のあるデザインで気軽に使える遊び着として、ユニクロには機能性のある素材でシンプルな日常着としての役割が求められています。言い換えれば、しまむらはスナック菓子のような嗜好品、ユニクロは生鮮品のような必需品であるのです(だから一時期、ユニクロは野菜販売に手を出したのでしょうか…?)。

 

 そのニーズやウォンツに合わせた商品を提供する経営をしなければ、業績に直接影響してくるでしょう。両社のコンセプト、すなわち提供する価値は、店舗を選ぶ顧客層にも浸透していますので、そのズレを一番敏感に感じるのはお客様なのです。ここ最近のしまむらはそこを読み違え、苦戦しているのかもしれません。

 

 もっとも、しまむら、ユニクロのお客様はどちらも価格に敏感です。しまむらの客単価は2500円前後にとどまり、ユニクロは原材料高騰により5%~10%値上げしたとたんに顧客離れを引き起こしました(20142016年頃)。ちなみに今回の記事ではユニクロが評価されていますが、当時は業績不振で散々な書き方をされています。

 

 記事にもあったように、2社をデフレ銘柄というまとめ方はできるかもしれませんが、そもそものビジネスモデル、戦略は大きく違います。そのため顧客層はそう被っておらず、お客様はそれぞれを使い分け、あるいはどちらか一方だけという感じで利用しているとみられ、2社間で顧客を奪い合うことにはならないでしょう。

 

 したがって一方の戦略ミスがもう一方を利することはほとんどないと考えられ、分析する際には注意をする必要があります。記事を表面だけ見てしまうと、しまむらからユニクロにお客様が流れたようにも見えます。店舗経営者の皆さんも、自社と他社の比較をするときには、しっかりとビジネスモデルを理解したうえで分析するように心がけてください。短絡的に競合他社に追随することは、自社の首を絞めることにもつながるのです。