ニュースの論点No.60 この料理、持ち帰ったらだめですか?

   「料理持ち帰り 断念3割 外食で食べきれず6割が経験」日経MJ2018618日、こう題した記事を掲載しました。記事によれば、「食品ロスの2割を占めるとされる外食で食べきれなかった料理の持ち帰りについて、ホットペッパーグルメ外食総研が消費者の意識を調査した。」

 

 「過去1年間で飲食店で食べきれなかった料理の持ち帰りを断念したとの回答が約3割に達した。持ち帰り賛成派が多数を占める一方、持ち帰りには様々なハードルがあることが明らかになった。」と報じています。

 

 お客様にとっての持ち帰りのハードルとして、「持ち帰ることができる飲食店なのか分からない」「持ち帰る際、移動中の汁こぼれやにおいが心配」「持ち帰りができない飲食店がある」「周囲の目が気になって、持ち帰りたいと言い出しにくい」などが同記事で挙げられています。

 

 一方で実際に持ち帰った割合が最も高いのは60代女性の43.1%、最も低いのは20代女性の24.8%となっています。高齢女性にくらべ、若年女性はやはり人目が気になり、それが心理的なハードルとして作用し、持ち帰りを躊躇させるようです。また、男性はどの世代でも約3割程度が持ち帰るとのことです。

 

 飲食店側からすれば、通常の注文において、すでにお客様が支払いを済ませた飲食物は、いくら残されたとしても廃棄ロスとして損失計上することはありません。そのため特に持ち帰りを推奨する動機はなかなか生まれないでしょう。もちろんせっかく作った料理を残されるよりは全部食べてほしいと思うのは当たり前であり、残飯として廃棄するのは決して気持ちのいいものではありません。

 

 しかし、飲食業にとっては先述の会計上のことはもとより、持ち帰りは食中毒など衛生上の問題、また時間が経つことによる味の劣化、さらにその劣化した商品を第3者が食べたことによるイメージの悪化等、リスクが多く存在します。わざわざそんなリスクを取ってまで、持ち帰りをしてもらうことはメリットも少なく必要性が感じられないでしょう。

 

 飲食業で食品ロスが多いのはホテルや結婚式場、居酒屋などで行われる結婚披露宴や宴会で、食品ロス全体の4割を占めると言われます。看過できる問題ではなく、いずれの業態でも早期に解決すべきものといえます。

 

 他方、食品ロスで言えば、コンビニも大きな問題を抱えています。

 

 以前、このコラムでコンビニの食品ロスを取り扱いましたが、飲食店とコンビニはその運営方式の違いでロスの出方にも違いが出ます。飲食店は受注生産の店舗が多く、基本的にお客様の注文があってから商品を作ります。よって厳格な原材料の在庫管理を行い、その使い方の工夫を徹底すれば、ほとんどの廃棄ロスは防ぐことが可能です。

 

 一方のコンビニは前もってお客様の需要を予測して弁当、総菜など見込みで発注します。ある程度自動化も進んでいますが、需要を見誤れば廃棄ロスか機会ロスが発生します。飲食業の場合は現場において様々なコントロールが可能ですが、コンビニの弁当や総菜などはすでに完成品であり、売れなければ確実に廃棄ロスになります。足りなければ機会ロスですね。

 

 コンビニ本部は機会ロスを非常に恐れるため、欠品をできる限り無くすように大量に発注させ、売れ残っても基本的には値引き販売をさせません。これはフランチャイズ契約上、本部が損失を被らないためですが、このあたりの仕組みを詳しく説明すると長くなりすぎますので、ここでは割愛します。

 

 話を戻します。

 

 繰り返しになりますが、飲食業の場合はお客様が残した料理は食品ロスではあるものの、廃棄ロスではなく会計上の損失は発生しません。さらに先述した様々な理由によりお客様に残ったものを持ち帰ってもらう動機は起きにくくなっています。

 

 コンビニは機会ロスを恐れる本部の指示や意向が発注に大きく影響し、廃棄ロスありきの運営のため、食品ロスはある程度織り込み済みとなっています。

 

 これらのことから飲食業、コンビニの双方とも、食品ロスを削減するモチベーションは上がらない状況と言えます。現場としては大量に捨てられる料理や弁当、総菜などを見ると何とかならないのか…と思うのが普通だと思います。しかし、現場にはその権限が無く、現状を変えられるのは経営者しかいません。

 

 飲食店においては、記事にもある通り、持ち帰りたいお客様は多く存在します。そして断念しているお客様の割合も多く、その理由もアンケートから明白となっています。それらを踏まえ、できるところから食品ロスを防ぐ施策をつくり、実践していくことが、お客様の信頼を勝ち取っていくことは間違いありません。

 

 これからの時代、「持続可能な店舗経営」は、経営者にとって避けることができない超重要事項なのです。