ニュースの論点No.62 万引きと顧客満足を同時に解決する策

  「顔認証で万引き防ぐ 導入店舗179倍、1,745店に」201872日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「日本万引防止システム協会の調査によると、顔認証システムの設置店舗数は2017年に1745店で、前年比9倍となった。」

 

 「国内小売業の万引きの被害総額は年間5000億円規模とも言われており、顔認証の活用で万引きの被害を未然に防ぐ取り組みが広がっている」とのこと。

 

 顔認証システムは、店内に設置したカメラで来店者の顔データを記録し、登録しておいた万引きをしたと思われる要注意人物のデータを照合し、適合すれば店舗の責任者のスマートフォンに通知する流れになっています。

 

 また、万引きを防止するシステムには、顔認証のほかに電子商品監視装置(EAS)があり、店舗の出入り口の両サイドに立てるゲート型や天井に設置する天井型、床に埋め込むマット型など複数の種類があります。EAS機器市場は顔認証システムとは対照的に縮小しており、今後は顔認証システムが主流となることも考えられます。

 

 さて、日本における万引きの現在の被害総額は前述のように年間5000億円程度と推計されており、数年前から規模は変わっていないとみられています(正確な数字を把握するのは困難)。しかし、万引きで検挙された人員数は2005年の113953人をピークに、2016年は69879人と減少傾向となっています。被害総額は変わらず、検挙人員が減少しているのであれば、1回当たりの額の増加、もしくは複数回に渡っての万引きが増えているともとれます。

 

 また、検挙人員の年齢構成は2011年より65歳以上(高齢者)が1419歳(未成年)を逆転し上回っています。高齢者の検挙人員は増えつつあり、未成年者は漸減していることから、今後はその差がさらに広がると予想されます。

 

 万引きを実行するのは青少年、高齢者、外国人が多いと言われています。その目的は様々で一概にはいえませんが、近年はメルカリをはじめとしたフリマアプリの市場拡大が転売しやすい環境をつくり、さらに高齢者の増加、外国人観光客の増加などで万引き被害が拡大しやすい状況になっていると言えるでしょう。その状況下で、顔認証システムは店舗にとって非常に頼りになるものだと思います。

 

 ところで顔認証システムの使い方として、万引きなどのリスク回避もそうですが、顧客の利便性向上に活用してほしいと私は思います。店舗のお得意様の来店時に、すぐにスタッフに知らせることで様々なサービスを提供できる可能性が高まります。小売店だけではなく、多くの店舗ビジネスで使えるでしょう。顧客の情報をスタッフ全員が即時共有できることは、サービスの向上に多大なる好影響を与えます。

 

 新人スタッフでも顧客の氏名や購買履歴、好みがすぐに把握でき、顧客に応じたサービスを提供できるようになり、顧客満足の向上にも直結します。しかも初めて見る顧客でもその対応が可能になるのです。もちろんすぐにうまく事が運ぶことは無いと思いますが、法的、倫理的、技術的な問題をクリアすることで顧客、店舗双方にメリットがあるシステムになることは間違いありません。ぜひシステム提供各社には研究開発を進めてほしいと思います。