ニュースの論点No.68 お盆玉を考える

  「お盆玉 じわり浸透 シニアの37%認知 一人平均5800円予定」

 2018812日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「お盆に帰省する子や孫にあげるお小遣い『お盆玉』という言葉を知っている人は37%で、前回調査を8ポイント上回り4割に迫った。今年あげる予定の人は2ポイント増の34%。帰省のための交通費を支援しているシニアも2ポイント増の47%と半数近い。普段会えない孫たちへの歓迎ムードは年々高まっている」と報じています。

 

 また、「今年あげる予定金額は子や孫一人当たり平均5800円だが、1万円以上も計31%いた」とのこと。さらに「帰省時の交通費の負担額は平均で3100円。交通費以外でも平均で44500円の予算をかけている」ということです。

 

 ちなみに年始の風習であるお年玉の平均はどのくらいでしょうか。おおよその相場ですが、小学生で30005000円、中高生で5000円~、大学生で10000円~というのが一般的な額とされています。この数字から判断すると、お盆玉とお年玉の相場はあまり変わらないようです。

 

 しかし実家のおじいちゃん、おばあちゃん(お父さん、お母さん)も大変です。もちろんお孫さん(お子さん)はかわいいでしょう。しかしそれに加えて帰省時の交通費まで面倒を見なければならないのですから。好きで出していればまだいいですが、半ば強制的に出さざるを得ない状況というのも実際によく見聞きします(帰ってくるのはうれしいが… あまり長居されても… 実はかなり疲れる… なども)。

 

 さて、その良し悪しはさておき、お盆玉と言う比較的新しい風習は、経済の活性化に対して一役買っていると思われます。お盆玉の使い道のデータはありませんが、お年玉では小学生がおもちゃやゲーム、中高生になると洋服や雑貨、電子機器類、大学生では旅行代などに使う傾向があるようです。お盆玉も使い道はそう変わらないとみられますので、祖父母の預金口座に眠っているよりは、おカネが表に出ることで新たな消費につながり、経済の新陳代謝が活発になるでしょう。

 

 また、実家の方たちは、お盆玉や交通費以外にも4万円以上の金額をこの時期に使っています。その内訳は、おそらく外食を含めた食費が大きいと思われますが、これを店舗経営者がビジネスとして見れば、年末年始と同じく非常に大きな商機といえるでしょう。年に何回もないせっかくの機会と言うことで、あまり出費を抑えることがなく、いつもよりは財布のひもは緩みがちになるのです。

 

 特に飲食店はこの時期、店を閉めておくことは得策ではありません。皆が帰省する時期に合わせて、同窓会や結婚式、法事なども多く予定され、その2次会需要も考えれば、いわゆる書き入れ時となります。

 

 ですので、この時期に合わせた特別コースメニューなど、お盆期間に特化した販促をすることで、厳しいと言われる8月の売上の大きな柱を作れる可能性は高まります。逆に言えば、その前後は落ち込みやすくなりますので、なおさらお盆時期の売上獲得には相当力を入れなければならないのです。

 

 飲食店以外でも、子や孫がお盆玉を片手に消費行動を活発化させやすくなります。特に夏休みの時期で身も心も開放的になっていますから、消費を喚起するには良い時期だと言えるでしょう(もちろん、価値ある商品だという前提です)。

 

 いずれにしても、店舗ビジネスではお客様が休みの時(土日祝日、お盆、年末年始)が書き入れ時、すなわち稼ぎ時となります。平日と土日で客数の平準化ができればよいのですが、それもなかなか難しく(店舗ビジネス永遠のテーマ)、忙しい時期にいかに効率よく稼ぐかがポイントです。

 

 今まさにお盆の時期です。店舗経営者の方は、この時期をうまく乗り越える人財の確保、オペレーションの標準化を徹底してください。ピーク時はサービスのギャップが一番出やすく、クレームの元になります。お客様は直接何も言わなくても、サービスが悪ければそれが店舗のイメージとなり、その店は二度と利用しなくなります。それどころか悪い評判が口コミ、SNSで広がることになるのです。

 

 その逆に、しっかりとサービスが提供できれば、帰省する度に利用してくれます。年に23回の利用でもその数が増えれば、店舗にとってはかなりのプラスになります。店舗経営者の方は、長期的な目線での顧客戦略として、お盆、年末年始の需要を取り込むようにしましょう。その積み重ねが、いつしかすごい力となるのです。