ニュースの論点No.69 どんな気候でも最高のビジネスチャンス

 

 「猛暑が夏商戦底上げ スーパー堅調 秋以降に反動減も」

日本経済新聞は2018822日、こう題した記事を掲載しました。記事によれば、「記録的な猛暑が小売り各社の販売を底上げした」「飲料やアイスのほか、家庭で火を使った調理を避けたいとして揚げ物惣菜や弁当を買い求める消費者が多かった」としています。

 

 しかし、盛り上がる一方で「暑すぎる夏が秋以降の消費に水を差す懸念もある」とも報じており、単純なプラスでは終わらない可能性も示唆する内容となっています。

 

 猛暑で売れた商品としては、総菜、レトルトカレー、もずく、シリアル、梅干し、バナナ、小型扇風機、スプリンクラーが挙げられています。そのほか、日傘やサングラスなどが伸びており、まさに猛暑需要がフル回転しているといえます。

 

 この夏は本当に暑い夏でした。まだまだ暑い日は続くようですが、ピークに比べれば少し落ち着いた感があります。この夏、日傘をさす男性の姿もちらほらと見受けられました。今まではまったくと言っていいほどいませんでしたが、さすがに背に腹は代えられないということでしょう。猛暑が新しい需要を生み、それがだんだんと当たり前の風景になってくる良い事例ではないでしょうか。

 

 こうして考えると、気候の変化はそれまでの価値観をいとも簡単に変えてしまう力強さがあります。「北風と太陽」ではありませんが、男性に無理やり日傘を持たせてもなかなか受け入れないでしょう。そうせざるを得ないような、自発的に行動を起こすきっかけとして、この猛暑はすさまじい力を持っているということです。

 

 ただ、一方でそういいことばかりでもなく、記事中にもありますが「猛暑で伸びた反動で、消費が秋にかけて『夏バテ』状態となることは避けられない」ことも十分に考えられます。今夏の猛暑は、あまりの暑さからいわば「非日常」な感覚もありました。気温が落ち着き、日常に戻るとそのテンションも上がりづらく、消費意欲もなかなか盛り上がらなくなってくるでしょう。

 

 とはいえ、店舗経営者はそんな悠長ことを言っている場合ではありません。気候のパワーに負けないように、新たなモノやサービスを考えていくことが求められます。猛暑の反動で秋口から数字が落ちてきた…などと弱音を吐いている場合ではないのです。

 

 暑いと売れる飲料やアイス、エアコンなどは何もしなくても気温の上昇だけで売り上げが伸びます。その気候に合わせた商売をするのは当たり前であり、それはその店舗の実力ではありません。誰でもすればできることで、やるかやらないかの差です。

 

 ただ、今年のような猛暑になると、例えば男性用日傘など新たな需要も少しずつ見え始めます。その時にどう動くのか。また、コンビニなどで扱っている一部の氷菓は売れすぎて十分な供給ができず販売休止となりました。その時にどうするのか。

 

 需要は同じ直線上で伸びていくわけではなく、様々な要因で予想外の動きをします。それを追いかけることも必要ですが、店舗経営者としては需要を作っていく側に回りたいところです。

 

 そのためにはまず、現状を多方向から見ることが肝心です。暑いから冷たいものが売れるのは当たり前。寒いから暖かいものが売れるのも当たり前。では暑すぎる場合、寒すぎる場合はどうなるのか。逆に行き過ぎた冷夏だったら。暖冬だったら… いつどうなってもいいような思考を巡らせておくことは、ブレない経営の第一歩となります。

 

 気候だけでなく、天候も重要な変数となります。災害をもたらすような場合は商売ではなく、支援を考えるべきですが、通常時の雨や雪でも、お客様はなにを求めているのかを考える良い機会となります。雨が降っているから店頭に傘を並べる…から一歩進んだ発想をするべきなのです。

 

 一部のコンビニではシェアサイクルサービスで自転車が置かれています。広い敷地を持つコンビニであれば、カーシェアリングも可能です(ファミリーマートの限定店舗で展開しています)。雨に濡れないで移動することを解決するには、傘を買わずに車で移動するのもありです。無料送迎サービスも考えられます。

 

これはつまり雨=傘のような対症療法ではなく、何が解決すべき問題なのかという根本的な部分に着目し、その解決方法を探っていくことの重要性を示唆しています。

 

 お客様の問題解決には実に様々な可能性があり、ここに気付くのが景気、天気に左右されない繁盛する店舗の経営者です。当たり前のことをきっちりとするのは非常に重要ですが、「その先」までいかなければ、その他大勢の店舗に埋もれてしまいます。その分岐点は、「通常時に何を考えているか」で決まるのです。