ニュースの論点No.70 ライバルと組む根本原則

  「共通割引券発行、集客でタッグ 吉野家・はなまる・ガスト」

日経MJ2018827日、こう題した記事を掲載しました。記事によれば、「吉野家ホールディングス傘下の吉野家、はなまるうどんと、すかいらーくホールディングスのガストが共同キャンペーンに乗り出す。3社が発行する合同定期券を買うと、約1か月間、どの店舗でも割り引きが受けられる」

 

 「合同定期券が使えるのは吉野家(国内1203店)、はなまるうどん(同472店)、ガスト(1367店)。各店舗で27日から合同定期券の販売を始める。910日から1021日まで、提示すると吉野家で80円、ガストで100円割り引く。はなまるでは天ぷら1品(100170円)が無料になる」としています。

 

 合同定期券の販売価格は300円となっています。だいたい24回の使用で元は取れる計算です。サービス期間中は何回でも使用可能となっており、お客様から見ればなかなかお得なサービスと言えるでしょう。

 

 もともとは吉野家とはなまるが始めた定期券の取り組みでしたが、そこで成功したことから、吉野家がガストに声をかけ、今回の合同定期券の実現につながっています。吉野家ホールディングスではさまざまな飲食事業を展開していますが、その中で合同定期券を展開するには規模がまだまだ小さく、グループ外であるガストの規模感と客層が魅力的だったのに加え、社長同士が食事をする中であったことも実現の後押しをしています。

 

 3社とも比較的低単価メニューをメインに据えた業態であり、80170円の割り引きでも10%以上の割引率となるため、結構なインパクトを感じます。そのうえ期間中は何回でも使え、顧客以外へのアピールとしても効果的でしょう。ヘビーユーザーにとっては、非常にありがたいサービスではないでしょうか。

 

 今回の「合同定期券」は、個人で経営している飲食店でも十分参考にできる取り組みだと私は思います。

 

ただし、参考にできるとはいっても、個人店でもすでに商店街の共通クーポンなど、同様の取り組みはあります。しかし商店街自体の利用者が少ないことと、利用できる店舗数が少なく、範囲が狭すぎることもあってあまり効果的に活かせていません。

 

 したがって、個人店で同様のサービスをおこなうには、地域や業態の枠を広げ、相乗効果のある相手と組むことで、利用者に対してのメリットを提供しなければ、成功はおぼつかないでしょう。また、当然組む相手にとってもメリットがなければ、取り組み自体が成り立ちません。

 

 客数が少ない同業者間でやったとしてもまず成功しないでしょうし、全く関連性の無いファストフードと高級フレンチ同士で組んでも、誰も利用しないでしょう(当たり前ですが)。

 

 とにかく、まずは自店で定期券なり、クーポンなりのサービスを成功させることからはじめるべきです。そのうえで、他社とのコラボレーションを考え、範囲を広げていくようにすることが正しい順序と言えます。

 

 今回の合同定期券もお互いの規模感や客層、価格帯など共通点および相乗効果が見込めたことから実現した取り組みです。商売では何でもそうですが、まずは相手に「ギブ」ができる状況を作ることで、その後にようやく自分に返ってきます。

 

 店舗経営者の皆さんも、他社との取り組みを考える時は、まず自社が相手に対して何を提供できるのか、ということから入り、実際に相手に「与える」ことをしてください。そこから成功の道が続いていきます。