ニュースの論点No.72 80歳でも仕事ができますか?

  「カインズ、パートの年齢上限撤廃 80代もOK シニアの経験重視」

201898日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「ホームセンター大手のカインズはパートやアルバイト従業員が65歳の定年を過ぎても働ける制度を本格導入する。意欲と能力があると判断された場合、80歳を過ぎても働けるようにする。」と報じています。

 

 また「小売業界では経験豊富なシニア人材を活用するため、定年を延長する動きが相次いでいるが、年齢制限を事実上無くすケースは珍しい。人手不足が深刻になる中、同様の動きが広がる可能性がある。」とのことです。カインズでは現在でも80歳超のアルバイトが10人ほど働いていますが、いずれも特例だったということです。

 

 ホームセンターだけでは無く、スーパー各社も同様の動きを見せています。ライフコーポレーションやサミットが75歳まで上限を引き上げており、いなげや、ヤオコーも追随しているようです。

 

 これは昨今の人手不足を見れば当然の動きと言えます。また、今は70歳を超えても元気なシニアが多いのも制度の後押しに一役買っているでしょう。シニア層も今後の生活を考えれば、年金だけで生活するよりもある程度の収入があったほうが安心できることも働く理由になります。

 

 さらに社会と積極的にかかわることで、自身の存在意義を感じることができ、精神的、肉体的な老化を防ぎ、健康寿命の延伸にもつながります。

 

 現在は人生100年時代と言われています。寿命は伸び続け、100歳を超える方も珍しくなくなりました。今後はさらに長寿命化し、80歳まで働くことが普通になってくるでしょう。

 

 そうした背景の中、記事にあるような企業各社の動きは当たり前と言えば当たり前です。小売業に限らず、飲食、サービス業でももちろん同様の動きが現れてくるでしょう。

 

 だからといって、何も考えずただ再雇用をしたり、働く意義の見えない仕事を押し付けたりしても、お互い満足のいく結果にはなりえません。

 

 昔に比べて若いとはいえ、年齢的に能力は徐々に落ちていき、頭脳も肉体も全盛期のパフォーマンスには程遠い状態の人が大半です。しかしその経験を活かす仕事が必ずあります。再雇用で単調な仕事を任せてもやりがいにはつながらず、かといって今までと同じ仕事でも給料が減ってしまえば、これも納得できないでしょう。

 

 経営者としては、この人手不足の対策として、シニア層の協力は不可欠です。中途半端な再雇用や延長は誰の支持も得られず、顧客に対するサービスレベルも間違いなく低下します。

 

 シニア層を安くうまく使ってやろうという気持ちでやらず、お互いの力を活かすような、バランスの良い制度を構築することが支持される会社として最低限の条件です。

 

 各社の財政状況もあることから、簡単に事は運ばないと思いますが、単調で安い仕事をやらせることは、シニア層が持つ経験を全く生かしていないと言えます。現役世代と同様に、やりがいを持てるような仕事の設計をすることが、シニア層はもとより、企業にとっても良い結果を生むのです。

 

 その「仕組みづくり」は経営者にしかできない重要な仕事なのです。