ニュースの論点No.76 唐揚げで成功するには

  「唐揚げ消費年220億個 日本人、民間調べ」2018108日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「日本人が食べる唐揚げは年220億個以上――。ニチレイフーズと日本唐揚協会(東京・渋谷)は鶏の唐揚げに関する調査結果を公表した。」「一人当たりでは年240個程度を消費した計算と言う。」「愛好家のカラアゲニストは一般消費者の4倍程度にあたる1千個前後を食べている。」とのこと。

 

 また「成人を対象にした調査のため、10代を含めれば消費量はさらに多そうだ。」「トップは青森県で1ヶ月に32個食べるという。大阪府と福岡県が続いた。」「唐揚げ人気を背景に、唐揚げ専門店も全国で増えている。日本唐揚協会の調べによると、184月時点で店舗数は1408店に達し、11年時点の3.4倍に急拡大したという。」としています。

 

 日本の国民食ともいえる唐揚げですが、データを見てもやはりその印象を裏切らない相当な消費量だといえます。それも10代を含んでいない消費量と言うことですから、これはもう好き嫌いを超えた、主食と言っても過言ではない食べ物になるのではないでしょうか。

 

 記事にもある通り、唐揚げ専門店も増加の一途で、どの町にも少なくとも一軒は見るくらい浸透しています。皆さんの町にもあるのではないでしょうか。また専門店以外にも、コンビニやスーパー、弁当店や飲食店など多種多様な業態で唐揚げは提供されています。

 

 唐揚げは自宅でも作れますが、その仕込みや油を使って揚げるという手間もあり、私の周囲の話を聞いても、自宅調理は敬遠されている印象を受けます。要は買ったほうが早いし、安いし、おいしいということで、店舗での購入が当たり前の行動になっているということです。

 

 提供する側からみても、唐揚げは原価も安く、ブラジル産鶏などを使えば、34個で原価50円程度となり、安く提供しても利幅は厚い鉄板商品と言えます。他方、国産鶏を使っても原価はそう高くはならず、専門店でこだわりの唐揚げでも極端な高単価になりにくいことから、消費者としても購入のハードルが下がる要因となっています。

 

 唐揚げはそのニーズも多様であり、日常の食事でおかずとして、またお酒のおつまみとして、さらには小腹がすいたときのおやつとしても活躍し、非常に使い勝手のいい食べ物であることも、その人気が続く一因となっているのでしょう。

 

 近年は焼き鳥や1羽丸ごと唐揚げなど鶏料理メインとした居酒屋もその市場を拡大しており、唐揚げだけではなく、鶏をメイン食材としたメニュー、業態は今後も伸びていくことが予想されます。

 

 その中でも唐揚げは鶏料理の王道を走り、流行りものではない、定番商品としての強さがあります。そのため市場がなくなることはまず考えられず、加えて基本的な調理の容易さ、設備の手軽さもあり、新たに参入する法人、個人が後を絶たない激戦市場ともいえます。

 

 身もふたもない言い方をすれば、唐揚げの味、食感、見た目、バリエーションなど総合した「クオリティ」はある程度までいくと、一般の人にはその違いがほとんど分からなくなります。つまり、味を追求してもそれがイコール成功とはならず、その後のブランディングが成否を決めるのです。

 

 ネーミングからロゴ、キャラクター、パッケージ、価格帯、出店場所、提供方法、サービス、媒体広告などでその価値観を一気通貫し、筋の通った戦略を取ることが、単なる流行りもので終わらない永続する繁盛店舗への唯一の道となります。

 

 店舗経営者のみなさん、簡単に参入できるからといって、その限りある資源を無駄遣いしないようにしてください。簡単そうに見えることが実は一番困難な道であり、たとえ「唐揚げ」でも相当な覚悟がないと成功はおぼつかないのです。