ニュースの論点No.80 予約キャンセルの取り扱い方

 

 「飲食無断キャンセルに料金 業界団体など初指針 コースで全額 席予約は5割」2018111日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「全国の飲食店が加盟する業界団体などが無断キャンセルした客に対し、キャンセル料を請求する指針をまとめた。コース料理を予約した場合は全額を、席だけを予約したケースでも平均客単価の5割程度を請求する。」としています。

 

 また「これまで店舗は泣き寝入りする例が多く、損失は年2000億円にのぼるとされる。指針に強制力はないが、初の統一見解として普及を呼び掛け、消費者に理解を求める。」とのことです。

 

 この動きは非常に良いことだと思います。記事にもあるように、無断キャンセルされた場合、これまではすべて飲食店側が損失を負担せざるを得ない状況でした。モラル意識の欠けた予約者側は何の負担もしなくてよいというのは、いささかバランスが悪く、飲食店側からすればまったく納得できないことだったのではないでしょうか。

 

 ホテルなどの宿泊施設、航空機、新幹線などの交通インフラに関してはキャンセルポリシーがはっきりと明示されており、利用者もそれが当然のことだと認識しています。無断キャンセルはもとより、数日前からキャンセル料が発生するのは当たり前となっているため、予約時は利用者自身がスケジュールをしっかりと考えます。都合が悪くなりそうであれば、早めに連絡することも当然のことになっています。

 

 これらに比べると、本記事の飲食店をはじめ、その他にも美容室、マッサージなどの治療院などの店舗ビジネスでは、予約が軽く見られているような印象です。その状況を改善できるという意味でも今回の指針を発表したことは非常に大きいといえます。

 

 ただ、私に言わせれば、無断キャンセルだけではなく、ホテルや航空機の予約と同様に、直前のキャンセルでもキャンセル料が発生するような指針にしたほうが良いでしょう。その方が利用者、サービス提供者の双方にとって、責任感やほどよい緊張感がでて、さらなるサービス向上につながる可能性が高いからです。

 

 お互いの期待値が上がれば、おのずと当事者同士のレベルは上がります。上がらなければいずれ退場を迫られるだけです。

 

 そもそも店舗としての魅力がなければだれも予約はしないでしょう。利用者も予約してでも行きたい、予約したからには必ず行く、予約をしないと入れない、利用できないとなればほとんどキャンセルはしないでしょうし、万が一キャンセルせざるを得なくなっても店側のことを考え、連絡も早めにするようになるでしょう。

 

 店舗としては、まず予約が入るような魅力的かつ安定的なモノやサービスを提供することが重要です。であればこそ、ある意味強気な対応、今回の話で言えばキャンセルポリシーを導入することができます。そうすることで自店が求めていないお客様は減り、価値観の合うお客様が増えていきます。

 

 お客様にとって、店舗を利用する他のお客さまの質も重要なサービスの一つです。「自分とは合わない人たちが使う店なんだな」と思われたらもう終わりです。店舗の価値観をはっきりと発信し、お客様のレベルを維持するためにも、自店の理念をもとにしたキャンセルポリシーをつくるべきなのです。

 

 この際、間違っても店舗側が損をしたくないから、という理由でキャンセルポリシーを作らないようにしましょう。もちろん、悪質なキャンセルに対しては金銭的な補償を求めることは大事ですが、それが転じて法外なキャンセル料を請求するようなことはあってはならないし、まったくの本末転倒です。そんな店には誰も寄り付かなくなるでしょう。

 

 さて、店舗経営者の皆さん。

 

あなたの店にはキャンセルポリシーがありますか?

それは何のために導入しましたか?