ニュースの論点No.81 ムダなことにどう対応するか

 

 「回転ずしは…食べ残しで持ち帰り10% 軽減税率でQ&A2018119日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「201910月予定の消費税増税時に導入される軽減税率制度について、国税庁がQ&A集を改定した」とのこと。

 

 また「購入した飲食料品を持ち帰る場合は軽減税率の8%、店内で食べるなら外食とみなして適用外で10%のまま。その線引きのわかりにくさや確認方法の負担を懸念する現場の声が後を絶たない」としており、あと1年を切っているにもかかわらず、いまだにそのルールが固まっていないことが露呈しています。

 

 記事中では、回転ずしの場合を挙げ、店内で食べれば10%だが、持ち帰りは8%。席に座って流れてきたすしを食べきれずに持ち帰る場合は外食扱いとして10%になるとしています。さらに喫茶店のコーヒーの回数券は、回数券を使って実際にコーヒーを買った時は持ち帰りなら8%、店内で飲めば10%とのこと。国税庁は混乱回避のため、回数券を店内用と持ち帰り用に分けて発行することなどを提案しています。

 

 この一連のやり取りは、はっきりいって「ムダ」ですね。もちろん軽減税率の根本の考え方はわからないでもないですが、このままいけば単にムダな作業が増え、コストが増え、生産性向上や働き方改革には逆風となることでしょう。

 

 と、いくら言ってもこれもまたムダで、現場としては対応せざるを得ません。ちなみに軽減税率の対象となる品目は「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行で定期購読される新聞」となっています。

 

 外食にあたらないものとしては、テイクアウト、出前、宅配、お土産、屋台での軽食(テーブル、椅子等の飲食設備がない場合)、外食にあたるものは店内外食、フードコートでの飲食、ケータリング・出張料理等とされています。

 

 軽減税率はそもそも「低所得者の負担の軽減」という名目で政策導入が検討されています。しかし、実際には高所得者ほど軽減税率の恩恵をより大きく受けることになり、低所得者対策としては有効でないことから、多くの経済学者は軽減税率の導入に反対しています。

 

 OECDは食料やエネルギー製品などの品目へ軽減税率を導入することは、これによって最も恩恵を得るのは高所得家計であるため、低所得家計への支援策として劣った手段であると勧告し、加えてさらに不正機会の発生や、行政コスト、法順守コストの高さを挙げています。(Wikipediaより抜粋)

 

 このことからも、軽減税率の効果には疑問符がつけられており、すでに導入している欧州各国では廃止の動きもあります。

 

 さて、日本では来年からの導入が決まっていますが、果たしてどうなるのでしょうか。増税への対応でも様々な負担がかかる中、効果が疑問視されている軽減税率の導入で、さらに現場にムダな負担を強いています。まったく何の価値も生み出さない作業に対し、しかも超人手不足の状況下で、膨大な資源のムダ遣いという未来がそこまで迫っています。

 

 店舗経営者の皆さん。

法令順守は当然のことであり、企業としてはしっかりと対応をするべきです。重要なのはこの状況でどう考えるのか。そして自身の哲学をもって事態にあたることです。いやいやながらやらされるのではなく、なぜこういう状況なのかを自分の中で咀嚼して、理解を深めておくことです。それが会社の空気となり、あらゆる逆境でも揺るがない繁盛店舗の芯となっていくのです。