ニュースの論点No.83 店舗の空き時間を考える

 

 「『アイドルタイム』卒業します 外食、午後26時の空白に新たな波」20181126日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「飲食店にとって積年の課題が空白時間の『アイドルタイム』だ。それはランチとディナーの間に訪れる。」「脱アイドルに向けて、新たな客層の開拓や逆張りのコンセプトなどで活路を見出すケースが出てきた。」としています。

 

 記事中では、アイドルタイムの谷が大きかった立ち飲み居酒屋がカウンターで販売を始めた「チーズハットグ(1400円。串に刺したチーズを生地で包んであげたメニュー)」が高校生を中心に1300本を超える売れ行きを見せていることや、マックやモスが同時間帯のスイーツに力を入れ、効果が表れ始めていることを紹介しています。

 

 また、すかいらーくが運営する「むさしの森珈琲」はお客様に長居をしてもらうことでアイドルタイム自体を無くすように、座り心地の良い椅子や木の香りがする内装、一般的なカフェよりも量が多く冷めてもおいしいコーヒー、豊富に用意したスイーツなど、ゆったりと過ごしてもらう仕掛けをふんだんに用意しているとしています。

 

 アイドルタイムは飲食店の宿命とでもいうべき時間帯です。日本語では遊休時間や無作業時間などともいわれ、店舗や生産施設が稼働せず、従業員も接客ができないため、経営資源が無駄に使われている状態です。

 

 特に接客業ではお客様の来店がなければ当然こういう状況になります。その中でも飲食店は朝、昼、晩の3食の時間帯にお客様が集中するため、必然的にそれ以外の時間帯はアイドルタイムになりやすい業態です。

 

 店舗側としては、営業してもしなくても家賃が発生することから、店舗を遊ばせるようなことはしたくないのが本音です。とはいえ、24時間開けておいても、そう簡単に来店数は増えることもなく無駄なコストばかりがのしかかり、結局は時間帯を限定して営業することになります。

 

 アイドルタイム問題は今に始まったことではなく、店舗ビジネス経営者の方々は今も昔もそのジレンマに悩み、さまざまな手を打って打開を試みています。居酒屋のランチ営業や早朝営業、美容室の面貸しも同様です。空いた時間で出張○○をすることも打開策の一つといえるでしょう。

 

 基本的に「待ち」の業態である店舗ビジネスでは客数の平準化が難しく、必ずアイドルタイムという空白時間が生まれます。スタッフのシフトコントロールだけではなかなか解決することもできないため、本記事にもある通り、経営者はさまざまな打開策を考え、実行することが求められます。

 

 本記事中の、立ち飲み居酒屋がチーズハットグを販売する施策というのは多少の意外性はあるものの、空いた時間に何か売るという当たり前といえば当たり前の施策です。スイーツの強化や長居してもらうための工夫も今に始まったことではないでしょう。

 

 要はアイドルタイムの活用だからいって、全く関連性のないことをやっても既存顧客が離れる可能性もあるため、結局は今の延長線上の取り組みとなるのがほとんどだということです。これは仕方がない半面、そうであれば無理に空き時間の活用をしなくてもいいのではないでしょうか。

 

 ディナータイムだけの営業で希少性を出し、予約制である程度集客を安定化することは有効な戦略の一つです。だらだらと開けておくよりは、そのほうが効率もよくなり、利益も出やすくなることが多々あります。

 

 アイドルタイムをもったいないと思うことは経営者として当然です。であれば、その時間帯を最大限生かしていくのか。それともあえて店を閉めて希少性に訴えるのか。しっかりと理念をもって決断すべきです。そこに経営者の価値観が表れるのです。

 

 さて経営者の皆さん。

避けられない「アイドルタイム」。どう打開しますか?