ニュースの論点No.85 増税対策に効き目はあるか

 

 「消費増税対策2兆円19年度予算案に計上へ 政府、商品券や公共事業増」20181211日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「政府は2019年度の当初予算案に、消費増税に備えた経済対策として2兆円程度を盛り込む検討に入った。キャッシュレス決済時のポイント還元やプレミアム付き商品券の発行などで個人消費を下支えし、公共事業の上積みで企業の需要や雇用を増やす」とのこと。

 

 また、「まず柱になるのが個人消費の下支えだ。中小店舗を対象にキャッシュレス決済で商品を購入した消費者に対する5%のポイント還元に数千億円を、購入額に一定額を上乗せして買い物できるプレミアム付き商品券に1千億円台後半をそれぞれ使う。」としており、他にも住宅の買い控えを防ぐために、一定条件を満たす購入者に「すまい給付金」という一時金を渡したり、防災や減災のためのインフラ整備には国費だけで1兆円超の予算を当て込んでいます。

 

 さらに、1910月の増税に合わせて自動車や住宅の購入時の減税を実施、飲食料品などの軽減税率の導入など、いったい何のために消費増税をおこなうのかわからない大盤振る舞いになっています(一気に景気が悪化するのを防ぎ、ソフトランディングする理屈は理解しますが)。

 

 日銀によれば、10%増税での家計の増税額は5.6兆円で、そのうち軽減税率と教育無償化で還元される分を差し引くと家計の実質負担額は2.2兆円と試算されています。政府はそこに19年度の当初予算2兆円を投じ、何とかして個人消費の落ち込みによる景気悪化を最小限に抑えようとしているのでしょう。

 

 ところで財務省が510日に発表した「国の借金」の残高は3月末時点で10878130億円となっています。この額は年々増え続けており、その理由として、1年間の予算は100兆円に迫る中、税収は約60兆円しかなく、残りの40兆円は国債等の発行で賄っていることが挙げられます。

 

 この「国の借金」を支えているのは実質的には国民です。金融機関にある国民の預貯金を使って国債が買われており、2018年現在、日銀、民間銀行で国債の8割以上を保有しています。その国民の家計金融資産(現預金、株式、投信など)は1832兆円あるため、まだまだ心配する必要はないという意見も多いのですが、借金は借金です。当然返済の必要があります。しかも年々増加しており、政府も簡単に国債を発行している節があるので、これからもどんどん増えていく勢いです。

 

 何が言いたいのかというと、消費増税で5.6兆円の増収になったとしても、「国の借金」の額からすれば、焼け石に水ともいえる状況であり、さらに増税初年度は個人消費の落ち込みを防ぐ大盤振る舞いで増収分は相殺されます。政府もいろいろと考えて増税対策をやっているのでしょうが、私に言わせればほとんど意味をなさないと思います。ポイント還元やプレミアム付き商品券で消費意欲が簡単に上がるはずもなく、仮に上がったとしてもそれは単なる需要の先食いなだけであり、長い目で見れば大した効果にはならないでしょう。

 

 そもそも増税で景気が良くなることはありません。子供だましのような増税対策をどんなにおこなったとしても、消費増税前の駆け込み需要、増税後の反動による個人消費の落ち込みは必ず起こります。何をしても無駄、とまでは言いませんが、我々は店舗経営者として、2%の増税で消費者にカットされるような商品、サービスにならないよう、常に磨きこみ、レベルアップを図ることが一番の対策といえるのです。そのうえで政府が挙げたような細かな施策を実行するのが正しい順番なのです。

 

 店舗経営者の皆さん。ここは皆さんの知恵の絞りどころです。政府の対策に頼ることなく、必ず起こる「消費増税の反動減」の短期的対策、そしてその後続いていく個人消費の落ち込みへの長期的対策をしっかりとおこなっていきましょう。これは誰に対しても必ず来る未来なのです。