ニュースの論点No.89 ブランド化の行方

  「古着ユニクロ 着回し楽しむ 中古市場で存在感」201915日、日本経済新聞電子版はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「従来は高級ブランド品が中古流通の主役だったが、スマートフォンを通じ手軽に売り買いできるアプリの登場で着古した普段着の出品が急増。活発な取引を背景に買取価格は上昇している。流行に左右されず、いつでも着られる手軽さも人気の理由だ。」

 

 「ユニクロが好まれるのはシンプルなデザインで、他の洋服と合わせやすいためだ。流行を問わず着回すことができ、品質向上で着用年数が延びていることも大きい。数年前にはユニクロは売れないと考える人が多かったが、ここ12年で意識が変わってきた。」としています。

 

 かつてはユニバレ、ユニ被り、ユニ隠しなど揶揄される対象だったユニクロですが、現在ではすっかり「ブランド」としての立ち位置を確立しています。200611月、佐藤可士和氏により新たなブランドロゴデザインが作成され、まずは海外の店舗を中心に展開。その後、2009年頃から国内のCM、広告、新店舗、リニューアル店舗に展開しています。

 

 もちろんそれだけで簡単にブランディングができるはずもなく、著名デザイナー(ジル・サンダー、アレキサンダー・ワン、ラフ・シモンズ、J.W.ANDERSONなど)とのコラボ商品の展開やヒートテックをはじめとした機能素材の開発、UTTシャツ)で様々なキャラクターや著名人とのコラボ、ビックカメラとの融合店舗…と多方面に渡って積極的に協業したことがイメージ向上の礎になっているのは論を俟たないでしょう。

 

 このように「ブランド」としてユニクロが認識されていることが中古市場での流通量に影響を与えているのは間違いありません。加えて記事にもあるようにスマホの普及、アプリによる中古品売買のインフラ整備、さらには価値観の変化による所有欲の希薄化、それにともなうシェアリングビジネスの台頭で中古品に抵抗がなくなってきたこともこの流れを後押ししているといえるでしょう。

 

 記事中では、ユニクロやZARAは比較的高価格で流通している一方で、しまむらやセレクトショップなどでは大きな動きは見られないと伝えています。これは至極当然のことで、PBがあるとはいえ、双方ともセレクトショップ、すなわち他社製品を仕入れて売る業態です。つまり「ものづくり」が主ではない、店名としてのブランドであるため、店舗で直接販売する一次流通ならまだしも、中古品売買の二次流通ではその価値が大幅減となるのは誰の目にも明らかです。言い方は悪いですが、「似せモノ」として判断されてしまうのです。

 

 「ブランド」となれば二次流通市場がおのずと出来上がり、比較的高価格で取引されますが、それ以外の認知度が低く価値が理解されていない商品、あるいは価値が提供できていない商品は廃棄されるか、一山いくらの待遇を受けます。当然すべてがブランド化するのは不可能ですが、経営者としては他社との差別化ができる「ブランド」となりえる店舗、モノ、サービスを追求していくべきです。

 

 人まねのパクリ商品、サービス、業態は戦略としてはありですが、店舗経営の本質ではありません。中古品市場でも高単価で取引されるような、本物の商品を提供し、世の中の付加価値を上げていきましょう。