ニュースの論点No.9 新規出店の目的

 

2017622日、スターバックスコーヒージャパンは

プレスリリースを行い、その中で

京都の清水寺に通じる二寧坂の地で、暖簾や畳の間がある

「スターバックスコーヒー京都二寧坂ヤサカ茶屋店」

630日にオープンさせることを発表しました。

 

世界初となるこの店舗では、入り口に暖簾をかけて

お客様をお迎えし、畳の間で豊かなコーヒー体験が

楽しめるということです。

 

店舗が入る建物は、築100年を超える2階建ての伝統的な

日本家屋で、主屋と大塀は伝統的建築物に指定されています。

 

この二寧坂界隈では、景観を何より大切にしており、

京都の生活の息づかいが感じられる街として、

その文化的価値が高く評価されています。

 

スターバックスコーヒージャパンは、この歴史ある

日本家屋や地域への敬意をこめて、可能な限り

保存する形で文化を融合させた新しい空間を

作り上げたということです。

 

そのため店内混雑時の入場制限や、

店舗前での行列の禁止などをおこない、

地域の一員としてその責任を担うとのことです。

 

スターバックスコーヒーは以前より

サードプレイス(1つめは家庭、2つめは学校や職場。それに次ぐ第3の生活拠点)

になることを標榜していました。

 

現在、日本国内にスターバックスコーヒーの

店舗数は1260店舗あります。(同社サイトより)

2020年には1500店舗まで増やしていく計画も

発表しています。

 

都心部から郊外まで、様々な広さやデザインの

店舗が存在し、どこの店舗もにぎわっている

印象が強いですね。

 

都心型ではビジネスマンがPCで仕事をし、

女性やカップルがちょっとした休憩で使い、

郊外型ではシニア層が読書、ファミリーが買い物

の合間にくつろぎ…

 

サードプレイスという言葉は今の状況から

すれば、色々な意見があるとは思いますが、

ほぼ実現しているのではないでしょうか。

 

その中で、今回の京都二寧坂の店舗は

その空間を大事にした、しかも地域の特性を

融合した珍しいケースです。

 

売上を取ることがメインではなく、

古き良き時代の価値が高い建造物との

いうなればコラボレーションをすることで、

そのブランド価値を上げることが目的の

一つともいえるでしょう。

 

スターバックスコーヒー自体のブランドは

もうすでに多くの人に認知されており、

その名前を広める必要はありません。

 

そのブランドネームによる店舗数の拡大と同時に、

拡大することで、ブランドの価値が薄まり、

陳腐化することを防ぐ必要があります。

 

そのためにはやはり、今回のような

その国の文化に合わせたコラボレーションのような

施策は当然必要となってきます。

 

“やはりスタバはセンスがいい。”

“日本の文化も理解して、大事にしてくれるんだ。”

“その姿勢はいいよね。”

などなど…

 

そう単純ではないかもしれませんが、こういった感情的な

部分は意外に見過ごせません。

無意識的に入る店舗の決定に関与してきます。

 

店舗を展開していくにあたり、最初は勢いで

どんどん出店していく場合が多いと思いますが、

今回のスタバのような出店の仕方も非常に参考になります。

 

特にこれからの店舗ビジネスは、お客様が過ごす空間が

大事になってきます。

店舗自体や内装、いすやテーブルなどのハード面もそうですが、

スタッフのサービスや客層などソフト面も空間の一部として

とらえることができます。

 

今、モノはどこでも同じものが手に入ります。

その差はなくなり、モノ自体で差別化することは

困難です。

 

店舗はお客様がわざわざ来店し、そこでモノやサービスを

消費する業態です。

 

モノで差別化ができないとなれば、ハード面、ソフト面

を合わせた空間を磨いていくしかありません。

 

そこでの時間の使い方こそが今後の店舗ビジネスの

肝となってきます。

 

その企業が何を考え、どういう思いで出店している

のか、というのはかなりお客様の行動に影響を

与えています。

 

そんな価値観を伝えるためにも、今回のスターバックスコーヒー

のような文化の融合、そして温故知新を通して

ブランド価値を高めていく店舗展開は

意味があると思います。

 

店舗ビジネス経営者の方々も、

勢いのある出店から一歩立ち止まって

自分たちが何をしたいのか、伝えたいのかを

しっかりと考える時間をつくってみてはいかがでしょうか。