ニュースの論点No.96 閉店は寂しいけれど

 

 「熊本パルコ、来年にも営業終了へ 事業展開見直しで」2019225日、NHKはこう題したニュースを報道しました。報道によれば、「ファッションビルを展開するパルコは、熊本市の店舗の営業を来年にも終了する方向で調整に入りました。ビルのオーナー側との協議次第では、改めて出店する可能性もあるとしていますが、パルコでは宇都宮の店舗を閉鎖する方針で、事業展開の見直しを進めています。」とのことです。

 

 熊本パルコがオープンしたのは19865月です。それまで同ビルはサンバード長崎屋熊本店として営業していました。長崎屋は1984年に撤退し、その後建物所有者である三陽からパルコに出店の打診があったものの、地元商店街が強硬に反対したため、計画より店舗面積を削減してオープンするということの顛末があったそうです。

 

 ちなみに長崎屋はスーパーマーケットチェーンで1967年に東証一部上場し、順調に成長してきました。しかし1990年代、種々の要因により経営状態が不安定となり、そこから紆余曲折の末、現在パンパシフィックインターナショナルホールディングス(ドン・キホーテグループ)の完全子会社となっています。業態転換によりMEGAドンキなどを運営しているそうですね。

 

 熊本パルコは開業より34年でその歴史に幕を閉じるわけですが、近年パルコは地方店舗の撤退を進めています。直近ではニュースにもある通り、宇都宮パルコが20195月での閉鎖を検討しているほか、20111月に大分パルコ閉店、201611月に千葉パルコ閉店、20178月に大津パルコ閉店と、都心型店舗の開発とは正反対の動きとなっています。

 

 熊本パルコもその他のパルコと同様に、競争の激化による業績不振が主だった閉店の要因となっているのは間違いないでしょう。パルコや鶴屋百貨店がある熊本の中心繁華街においては、郊外地域に2004年に開業した光の森ゆめタウンや2005年に開業したイオンモール熊本の影響を大きく受けており、さらに2年前の2017年、繁華街の旧ダイエー跡地に「COCOSA」と呼ばれる中規模のファッションビルが開業し、さながらパイの奪い合いといった様相を呈しています。

 

 誰がどうみてもお客様の数は増えていないのに、店舗だけが増えていく完全なオーバーストア状態となっているのです。

 

 しかも熊本では2019年秋に旧熊本交通センター跡地の再開発による大型の商業施設やシネコン、ホテル、ホールなどが開業予定であり、さらに2021年には熊本駅の再開発でJR九州のアミュプラザが開業予定となっています。

 

 こうなるとパルコだけではなく、小さな店舗から大型の商業施設まで、これまで以上に影響を受け、閉店する店舗が続出するのは間違いないでしょう。パルコとしては、今のうちに撤退するほうが傷は浅いといった判断が働いていたのではないでしょうか。

 

 人と同じく、街の形にも新陳代謝が必要であり、開発は善でも悪でもありません。昔は良かった…というノスタルジックな考えもたまにはいいですが、変わるときは容赦なく変わっていきます。乗るか乗らないかというよりも、その大きな波の中でどう動いていくのか、ということを考え行動していくことがいつの時代も必要なのです。

 

 時代をつくった商業施設がなくなることは一抹の寂しさがありますが、それは新しいものが生まれる兆候であり、成長へ向けて避けては通れない道なのです。こういった閉店のニュースを見聞きするにつけ、店舗経営者としては、常にプラス思考で未来を見据えた行動をとっていきたいものだと強く感じます。