ニュースの論点No.99 タクシーと寿司

 

 「タクシー運賃、事前に確定 乗客の不安解消」2019320日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「国土交通省はタクシー運賃のルールを見直し、乗車前に運賃を確定するサービスを全国で解禁する。車を降りるまで運賃がわからないことに対する乗客の不安を解消し、利便性を高める狙い。」ということです。

 

 また、「タクシーを使いたい人がアプリに乗車予定地と目的地を入力すると、自動計算で運賃が画面に表示される。利用者はその運賃で予約し、決済して乗車する仕組みだ。」としています。

 

 タクシー運賃は、運賃を適用する地域ごとに定められ、需要構造、原価水準等を考慮し、自動認可運賃が決められています。例えば東京23区、武蔵野、三鷹市における公定幅運賃は、平成29130日より、距離制では普通車初乗りは1.052㎞まで上限が410円(下限380円)、その後237mごと(下限256m)に80円となっています。時間距離併用制では、時速10㎞以下の走行時間について、90秒(下限95秒)ごとに80円が加算されます。

 

 さて、本記事の運賃事前確定は、実証実験の結果を受けて解禁するわけですが、国土交通省の資料によれば、事前確定運賃総額とメーター運賃総額の乖離率は約0.6%であったとのことです。事前確定運賃が39,915,410円、メーター運賃が39,675,490と、事前確定運賃のほうが距離制のみの予測で低くなるのかと思いきや、その逆だったのが意外でした。詳細は書いてありませんでしたが、事前確定運賃には道路状況に応じて、時間距離併用も加味した予測結果を出していたのでしょう。

 

 ともあれ、事前に料金がわかっていたほうが遠回りなどの不正や、あるいは道に迷った挙句の料金アップなどはなくなるわけですから、利用者側としては安心感があるのは間違いないでしょう。

 

 これはどんな商売にも言えることで、「一体いくらかかるんだろう…」という不安は満足感を打ち消します。時価の寿司屋は典型例ですが、推測しながらのオーダーは決して楽しいものではありません(腐るほどお金がある人は別です)。

 

 提供するものの価値に自信があれば、いわゆる「明朗会計」ができるはずです。人を見て料金を決める、つまり取りやすそうな人から取るような商売は絶対に続きません。サービスを提供する側の「原価」がいくらかかるかわからないということは、ほとんどないわけですから(そもそも管理できなければ商売にならない)、はっきりと価格を明示するべきです。

 

 安定し、納得できる価格には顧客が付きます。信用、信頼が積み重なり、顧客の頭の中に、予算として組み込まれやすくなるからです。店舗経営者の皆さんは、このことを念頭に置き、納得感、そして満足感のある価格設定、価格の開示をおこなっていきましょう。