ニュースの論点No.186 嘘はダメ

 「『今だけ安い』はOK?消費者庁、将来価格との比較で指針案」20201116日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「セール中の今は1万円、セール終了後は15000円―。消費者庁はこうした将来の販売価格を引き合いに出して消費者を引き付けようとする手法について、景品表示法に基づく目安づくりに乗り出す。」としています。

 

 これまでの消費者庁の価格表示ガイドラインでは、将来価格についての二重価格表示には対応していませんでした。過去の販売価格を基準とする場合と比べ、将来の販売価格は根拠が曖昧で基準がはっきりしないことから、消費者庁によって指針案が提示されたというわけです。

 

 二重価格表示とは、消費者庁によれば「同一ではない商品の価格を比較対象価格に用いて表示を行う場合」「比較対象価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合」とされています。なかなかわかりにくい説明です。要するに根拠が薄く、誤解を招くような表示をするなということです。

 

 例えば、過去に販売した実績がないのに「通常1000円のところ50OFF500円」というような表示です。実例として、「おせち料理をHP上で通常価格21,000円を50OFF10,500円として販売していたが、実際には通常価格などなく、安く見せるための架空の価格を表示していた」ということが挙げられます(措置命令あり。行為の撤回、再発の防止を命じる行政処分)。

 

 上記とは逆に、「最初の今だけセールで500円、セール終了後は1000円に戻す」といった売り方が最近よく見受けられます。今回の指針案はここが論点です。この売り方自体は悪くないものの、いつまでも長々とセール価格になっていることが散見され、問題視されるようになりました。

 

 実例として、加熱式たばこ「アイコス」が20159月~20185月にコンビニの店頭にて、期間限定としたうえで「今なら会員登録すれば○○円OFF」などと表示していましたが、実際には期限を過ぎた後も同様のキャンペーンを継続していました。フィリップモリスはこの課徴金として55274千万の納付命令を受けています。

 

 二重価格表示は実際よりも有利に見せることで、消費者の合理的選択を阻害する可能性があります。加えて景品表示法における有利誤認表示に該当するおそれがあり、課徴金納付命令が出された場合、アイコスのように億単位の代償を払うことにもなりかねません。

 

 通常価格、将来価格ともに販売実績として認められるのは、最低でも2週間以上継続した販売期間を設けることが基準として明示されています。個人的に2週間では短いような気がします。商売として誠実さが感じられないからです。適当な値付けをしていないのであれば、少なくとも1ヶ月以上は価格を変えないようにするべきだと思います。ともあれ、経営者の皆さんは価格表示にも細心の注意を払ってください。架空の販売価格を設定するなど、売らんがための短絡的な手段は取らないように気を付けましょう。

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