
「大阪市の飲食店、3500店廃業 4~11月、コロナで3割増」2020年12月22日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事では大阪市の飲食店廃業について「新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり前年同期に比べ3割増えた。北新地や梅田などキタの繁華街のある北区は2.2倍になった」と説明しています。
さらに「市内の飲食店数(3月末時点)は約5万9000店とみられ、廃業数は6%程度に相当する」としており、コロナの影響が相当数に上っていることを伝えています。一方、逆の動きとして、空きが出始めている好立地のテナントを狙って出店強化する企業もあるとのこと。
コロナ禍によって、大阪に限らず飲食業界の新陳代謝が大きく進んでいるのは間違いありません。ただ、外食ニーズが減っている中では、新規出店数が廃業数を超えることは考えにくく、全体としては減少傾向にあると思われます。
さらに悪いことに、1年の中で最も多くの人が集まり、飲食を共にする機会(忘新年会、初詣、帰省、同窓会、成人式等)として飲食業界に大きな収益をもたらす年末年始も、政府や各自治体からの自粛要請で例年のような過ごし方は難しくなっています。
これまで給付金や雇調金などの支援で何とか生き延びていた店舗も、年末年始のような儲かる時期が消滅することで、廃業を視野に入れざるを得なくなります。これは飲食店だけではなく、あらゆる対面型の店舗ビジネスにとって他人事ではない、大変厳しい状況です。
どうすればいいのかわからない、決めきれない事業者の方も多いと思います。コロナ初期には支出の抑制、キャッシュの確保によって嵐が過ぎるのを待つことが定石でした。しかしながら、やがて1年、おそらくはそれ以上の期間、影響が予想されるコロナ禍においては、さすがに「待ち」だけでは通用しない局面となりつつあります。
もちろん、「待ち」だけではなく、テイクアウトやデリバリー、通販などに参入し、新たな収益の形を模索している店舗も多いことでしょう。ただ、それでもやりなれていない新規事業を軌道に乗せるには時間がかかります。
さて、八方塞がりに見える今、何をすればいいのか。
まずは現状把握、特に毎月かかる費用をすべて洗い出し、何にいくらかかっているのかを正確に把握することです。「何を当たり前のことを。そんなこととっくにやっている。」と言う声が聞こえそうですが、私の経験上、びっくりするくらい現状がわかっていない経営者が多いのが事実です。
厳しい厳しいと言いながら、その実自社の状況がまったくわかっていない。わかっているのは売上が下がり、お金が無くなりつつあることだけです。ですので、まずは正確な費用面の把握をしましょう。すべてはそこからです。そして、その場しのぎではない徹底したコスト削減を始めます。当たり前ですが。この時点ですでに、ある程度「廃業」するか「存続」するかの判断ができるようになります。
可能な限りのコスト削減をしても、それに見合う売上を上げることが困難であれば、残念ながら廃業も視野に入れざるを得ません。あるいは、他人に任せることができれば(買う人がいれば)事業の譲渡や売却も可能ではあるでしょう。
いずれにしても、感情論でダラダラと続けるのではなく、進退を決めるべきフェーズに入っているのは間違いありません。存続するにしても、廃業するにしても、経営者自身が決め、早めに手を打ちましょう。遅ければ遅いほど打てる手が限られます。特に廃業後、仕事をする必要がある場合はなおさらです。
廃業後の仕事がないから仕方がなく今の仕事を続けている…と言う方も少なくない印象です。この意見の良し悪しはさておき、惰性で続けても大抵の場合は傷が深くなるだけです。そもそも経営者であれば廃業後の心配などしている暇はなく、自分で仕事をつくるべき存在でしょう。
経営者の皆さん。決断するのが経営者の最重要な仕事です。特に危機時は一つの決断がその後の命運を決定づけます。しかも正解はありません。それでも決断することを恐れず、下した決断を正解にするのが経営者の仕事だと心しましょう。

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