
「無人店で効率経営 コロナに対応 ドコモ小売り参入、IT活用 セブン、学校など1000カ所」2021年1月11日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「NTTドコモは無人店事業に参入し、食品を入れた自販機を展開する。セブンイレブン・ジャパンは2025年度末までに学校など全国1000カ所に無人販売所を整備する」としています。
ドコモはカップ麺、電池などを入れた自動販売機をマンション、オフィスの空きスペースに展開します。またセブンは弁当やパン、飲料など自社商品を入れた自動販売機をすでに500カ所展開中で、5年後までに1000カ所に増やす計画となっています。
いずれも自販機の展開であり、今あるコンビニが無人になるタイプの店舗ではありません。試験的に無人店舗の運営が一部で行われていますが、まだ本格稼働には至らず、まずは自販機から広がっていく流れになるのでしょう。ちなみに自販機コンビニとしてはファミリーマートが先行しており、20年1月時点ですでに約1900カ所設置しています。
小売事業に参入するNTTドコモは事業として通信事業(主に携帯電話サービス他、)とスマートライフ事業(動画配信、金融・決済サービス、ショッピングサービスなど)、その他の事業に分け展開しています。今回の小売事業はスマートライフ事業の中に組み込んだ新規事業となると思われます。
一般的に小売業は生産性が低いとされています(18年度497万、製造業は1197万)。労働生産性は通常、従業員1人あたり付加価値額です。さまざまな計算方法がありますが、乱暴な言い方をすれば、従業員1人が粗利をどれだけ生み出したかということです。
なぜ生産性が低いのか。小売業はメーカーまたは卸業者から仕入れたものを一般消費者に販売するビジネスモデルです。人が作ったものに自身の取り分を乗せて売る。それだけですから、そもそも付加価値が付けづらい。小売業が付加できる価値は、基本的に品揃えとサービスになります。これまでは人の力を使ってこれらの価値をつけていたわけですが、今回の記事の通り、テクノロジーの進展で段々と人が介在しなくても(人よりもミスなく)価値が提供できるようになってきました。
無人型の店舗はここ数年で無人レジ、自販機などの導入から始まり、徐々に広がりつつありました。そこにコロナ禍も相まって世間のニーズが高まり、さらに技術的な進展により一層拡大スピードを増しています。無人店舗は最低限の人数で運営が可能ですので、労働生産性向上の観点ではかなり大きなインパクトとなることでしょう。
ただし、コンビニ的、日用品的な商品であれば無人店舗と相性が良いと思われますが、人的サービス(ホスピタリティやストーリーテリング)が必要な商品(高価格帯、ブランド、アートなど)に関しては今後も人の力は必要です。
「無人店舗で効率アップ、生産性向上」は一面では正しく、今後もその動きは拡大するでしょう。しかし小売業を十把一絡げに見て、すべてを生産性向上に紐づけてしまうと失敗します。経営者としては、「どこで価値をつけるのか」を見極めて経営判断をしていきましょう。

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