ニュースの論点No.202 くまモンの本質

 「20年も絶好調だモン♪ くまモン商品、売上高1698億円」2021310日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「熊本県は県のPRキャラクターくまモンを利用した商品の2020年の年間売上高が、国内外で少なくとも1698億円となり過去最高だったと発表した。調査開始から9年連続で最高を更新し、累計売上高は9891億円となった」としています。コロナの影響でぬいぐるみなどグッズ類は2割以上下落したものの、農畜産物など食品類が伸び全体をけん引しています。

 

 皆さんご存知のくまモンは20113月の九州新幹線全線開業に向け、熊本県をアピールするために生まれたキャラクターです。ちなみに誕生日は312日。20102月にくまもとサプライズロゴのおまけとしてくまモンが提案され、3月に春のくまもとお城まつりでデビュー。201111月にはゆるキャラグランプリで優勝、20128月にはバンジージャンプに成功、さらに12月ウォールストリートジャーナル1面に取り上げられます。

 

 2013年にはなんと天皇、皇后両陛下の前でくまモン体操を披露し、初対面を果たしました。その際、皇后陛下から「くまモンさんはおひとりなの?」との質問にくまモンは大慌て、蒲島知事も返答に困り、最終的に「くまモンはくまモン」ですと言う結論に。その後も紅白出場など安定した活躍を続け、熊本県のキャラクターという枠を超え、全世界に活躍の場を広げながら今日に至ります。

 

 誕生から10年以上人気を保ち、キャラクター商品の売上もデビュー以来右肩上がりで推移しています。くまモンの商標使用を原則無料(熊本県のPRにつながったり、県産品のPR促進等につながると認められる場合に限る。国内利用申請が必要)にしたことは、くまモンの存在が世間に広く浸透し、人気が継続する後押しともなっています。

 

 さて、いわゆる「ゆるキャラ」と呼ばれる企業や自治体などをPRするさまざまなキャラクターですが、公式、非公式を合わせるとこれまでに相当な数が生まれてきました。ゆるキャラグランプリのエントリー数でみてみると、201134812865131580141699、そして15年にはピークの1727となりました。しかし16年からは減り始め、19年は789と半分以下になり、20年には972で何とか持ち直しましたが、ピークに比べれば寂しい数字となっています。

 

 くまモンの後に続け!とばかりに、日本中の自治体がこぞってゆるキャラをつくり始め、約5年で市場はピークアウト。その後一気にバブルが弾けて現在の状況になりました。ん?これってどこかで見たことありませんか?

 

 一番想像しやすいのは、飲食業ではないでしょうか。一つの業態が流行ったら一気に出店。それを競合他社がマネをして、あっという間に市場が飽和状態。その後はペンペン草も生えない見るも無残な荒涼とした光景が広がります(ちなみにペンペン草は春の七草の一つナズナだそうです)。最近だと立ち食いステーキなんかははまさに!の例ですよね。今後の有力候補はタピオカ、食パン、唐揚げなどなど…

 

 飲食業以外でも同様の例は山ほどあります。最終的にはくまモンのように初期に出た元祖が残る場合が多いでしょう。要は人まねではないオリジナルですね。ここで私がお伝えしたいのは、流行っている市場に乗り込むのは基本的にやめたほうがいいということです。けがの元です。上手くやれる人はごく少数であり、それは歴史が証明しています。成功例を参考にするのは構いませんが、2匹目のドジョウは大体いません。

 

 上っ面だけマネしても長続きせず、資源の無駄遣いになるだけです。それよりも、目の前のお客様に喜んでもらうことの地道な積み重ねがもっと大事です。第2のくまモンを目指すのではなく、くまモンがどうやってお客様を喜ばせているのか、その本質を見るようにしましょう。

 

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