ニュースの論点No.229 お金の使い方

 「西友、特別一時金を11万円超支給へ‥感染防止対策の負担増している現場に配慮」2021915日、読売新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「西友は15日、店舗や物流センター、製造工場などで働く従業員32000人に対し、特別一時金を1015日に支給すると発表した」としています。支給総額は35000万になるそうです。

 

 20215月には、イオンでも同様の一時金(12万円)を従業員約45万人に対して支給しており、総額は60億円となっています。ちなみにイオンは昨年春にも、国内の従業員数十万人に対し1万円の手当を支給しています。

 

 両社ともに、感染防止対策など、現場での業務負担が増していることに対する配慮をするためと支給の理由を挙げています。

 

 コロナ禍となって巣ごもり需要が高止まりし、「スーパー」という業態は比較的業績も良好です。それは当然両社にもあてはまり、西友は2020年度(112月)の売上高は7850億円で5.6%増、イオンは連結ですが、直近の2135月期の売上高が21532億円で過去最高となっており、総合スーパー事業が大きく回復したとのこと。

 

 両社の収益規模からすれば、「業績が良かったから一時金を支給する」ということはないでしょう。また、「節税のため」という陳腐な理由も考えられません。財務や税務対策などではなく、表面的には報道の通り、従業員に対する慰労の意味合いが強いと思われます。ただし、それだけではなく、会社に対する従業員のロイヤリティ向上や、それに伴う定着率向上を狙う意味合いもあるでしょう。

 

 いずれにしても、お金を余計にもらえるわけですから、従業員にとっていやなことではありません。個人個人がどう取るかはわかりませんが、好意的に受け取る従業員は少なくないのではないでしょうか。

 

 しかも、この施策がニュースになることで企業イメージの向上は計り知れないものがあります。うがった見方をするわけではないですが、従業員も喜び、世間の評判も良くなるとなれば、変な広告や販促策をするよりも相当大きい投資効果が見込めます。

 

 また、スーパーは従業員が自店で購入する機会も多いでしょう。その1万円がどう使われるかはその人次第ですが、食料品や日用品を購入するのに使えば、購入した分、会社に還元されます(社割で利益は目減りするかもしれませんが)。

 

 詳しい内部事情は読めないのですが、企業にとって「お金を使う」ことには、基本的に戦略があります。仮に人助けの部分があったにしても、何らかの理由を説明できなければ、「かわいそうだから」では通りません。

 

 企業の動きにはどんな意味があるのか。観察だけでなく洞察することで新たな気づきが生まれます。皆さんもぜひ、一歩踏み込んで考えてみてはいかがでしょうか。

    今週の経営コラムを無料でお届け 無料メールマガジン登録はこちら
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    目次