
「“売れる”が“買う”の背中押す フリマ世代はまず差額チェック 人と違うモノ志向薄く」2021年10月10日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「持ち物を売却する際の下取り価格である『リセールバリュー』を意識した購買行動が、若年層を中心に広がっている」としています。
最近ではフリマアプリの普及により、モノが簡単に、しかも中古品店よりも高値で売却できる環境が整っています。こうした環境変化も手伝い、本や服などの身近な商品にもリセールバリューが意識されるようになりました。特に1990年代半ば以降に生まれたZ世代と呼ばれる層は、コストパフォーマンスを重視する傾向にあるそうです。
所有することよりも、お得に利用できる体験や時間に価値が置かれ、高く売れるもの、つまり「みんなが欲しがるもの」を見越して購入するスタイルが浸透しつつあります。結果、記事タイトルにもあるように「人と違うモノ志向」が薄くなってきているのでしょう。
ちなみに博報堂生活総合研究所が行ったアンケートでは、「多くの人が同じものを持つと、興味がなくなってしまう」人は減少傾向にあるそうです。逆に言えば、「人と同じでも気にしない」と思う人が増えているということで、ますます所有から体験へ価値観が変化し、それに基づく行動が強まっていくと思われます。
こうした購買行動の変化は、ムダな消費の抑制、廃棄物の減少にもつながりやすくなります。持続可能な社会への足掛かりとして、いわゆるSDGs的な行動として認識され、今後も広がっていくのではないでしょうか。
さて、ここで話は私の学生時代に遡ります。20年以上前になりますが、当時古着が流行りました。ただ古着といっても日本で誰かが売却したものではなく、主にアメリカやヨーロッパから古着屋さんが仕入れた「よくわからないけど何だか雰囲気のあるモノ」でした。
セレクトショップや百貨店等で新品を購入する際も、「高く売れそうだから」という理由はまったくありませんでした。一部の「ブランド品」は質店やブランドリサイクル店で流通していましたが、利用者はごく一部に限られていた印象です。
要は、当時モノを買うとき、「好き」で「自分が利用することのみ」を考えて買っていた側面が強かったわけです。それを考えると、「みんなが欲しがりそうな」「売れそうなモノを見越して買う」今の風潮は賢いとは思いますが、何だか少しだけ寂しいような気がします(もちろん大量生産、大量消費、大量廃棄を勧めているわけではありません)。
皆が好きなモノを好きなだけ消費する世界は持続可能な社会ではありません。しかしながら、何かが欲しいと思う「人間の欲」は社会を成長させる重要なドライバーでもあります。このあたりのバランスは永遠の課題かもしれませんが、どうせなら「楽しい買い物」が無理なくできる社会にしていきたいですね。

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