ニュースの論点No.262 歌いながらミシン

 「『カラオケでミシン貸出』なぜ実現? 大反響で期間延長、異色サービスの背景に『意外な歴史』」2022430日、J-CASTニュースはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「カラオケ『JOYSOUND』池袋西口公園前店が実施している期間限定サービスが、ツイッターで注目を集めている。カラオケルームの利用者が、税込み1000円で貸し出しミシンを使えるというものだ」としています。

 

 同サービスは2022225日から期間限定で展開されていましたが、426日のツイッター投稿が反響を呼び、現在では利用者も大幅に増加しているそうです。出店地に池袋を選んだ理由としては、ターミナル駅であることはもちろん、コスプレ熱も高く、衣装制作需要が見込めたからといいます。ちなみにミシンを提供するブラザー工業はJOYSOUNDの親会社であり、グループ間の相乗効果を狙った施策でもあるとのこと。

 

 コロナ禍によって、カラオケ店は相当な苦戦を強いられています。ただ、それ以前から店舗間の競争は激化傾向となっていました。各社は差別化を図るため、さまざまなサービスを試行錯誤しています。今では、リモートワーク、プライベートシアター、ライブ観戦、パブリックビューイング、ゲームプレイ、楽器やボーカルのオンライン講座など多様なサービスが提供されています。

 

 さて、「カラオケ白書2021」によれば、20年のカラオケボックスの市場規模は1973億円で、前年比48.1%と激減しています。利用人口は2620万人で4割減、ルーム数は1142001割減となっています。

 

 ちなみに、私は4年前に「シダックス」が事業を売却した時にもカラオケ業界についてコラムを書いており、当時も業界が苦戦していることをお伝えしていました。その時挙げた数字を改めて確認すると、カラオケボックスの市場規模のピークは1996年で6600億円、利用人口は5690万人、ルーム数は160680室です。1996年当時と比較すると、現在では市場規模は7割減、利用人口は5割減、ルーム数は3割減です。

 

 コロナ禍が収束すればある程度は戻ると思われますが、この調子では、あと数年かかるかもしれません。そうなると、戻る前に撤退する店舗もさらに増える可能性があります。業界で生き残るためには、カラオケ店でありながら、「カラオケ以外」のサービス開発・提供を行うことが今後のカギとなります。

 

 ただ、悪いことばかりではありません。コロナ禍は私たちに対して、確かに厳しい状況を突きつけました。しかし、いずれ起こる未来が早めに現実となっただけであり、時計の針が少し早まっただけです。

 

 このスピード感に乗れなければ退場させられるかもしれませんが、逆に乗ることができれば、競合を圧倒した成果を生み出すこともできます。今回のニュースも「カラオケ×ミシン」という奇をてらった策に見えますが、誰にも先が見えない今、こんな試行錯誤こそ必要だと私は思います。

 

 経営者の皆さん。ぜひアイデアを閉じ込めず、試してみてください。意外なところにチャンスは転がっています。

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