ニュースの論点No.264 お寺と商売

 

 今回は趣向を変えて私の体験談をご紹介します。4月の話になりますが、奈良県の山中にあるお寺で「修行」をしてきました。と言ってもそんなに厳しいものではなく、参拝者向けに提供されている「サービス」としてのライトな修行です。

 

 そのお寺は宿坊(宿泊施設)を営んでおり、12日のさまざまな修行プランや、個別に選べるオプションサービスが提供されています。その中に「滝行」もありましたが、今回は時間の関係で諦め、「写経」や「座禅」、早朝からの「護摩行」を体験してきました。

 

 やはり百聞は一見に如かずです。私にとって非常に新鮮な体験で、頭も心もスッキリしました(のような気がしました)。続けることでさらに効果がありそうですが、さすがに自宅では難しそうです。今後も機会をつくって修行の旅に出たいと思います。

 

 さて、今回訪れた奈良のお寺は、山中に複数のお寺や神社などが混在し、いわゆる神仏習合のかなり賑やかな空間を形成していました。山自体がテーマパーク的な感じで、何と「バンジージャンプ」もあります(その名も開運バンジー)。

 

 まあ、「修行」をサービスとして提供するぐらいですから、一言で言えば「商魂たくましいお寺(山全体)」です。宿坊も3つあり、それぞれ独自に運営されています。提供されているサービスもさまざまで、細かく商品化され、すべてに価格が付けられています。

 

 私が宿泊した宿坊では、写経は1500円、座禅も1500円でした。護摩札は数百円から、祈祷をセットで頼めば数万以上となるオプションまで用意してあります。チェックイン時にはお坊さんがメニュー表を差し出し、オプションサービスをグイグイ勧めてきます。

 

 ちなみに、お寺直営なので働く人もすべてお坊さんです。で、当然ながら掃除は隅々まで行き届いており、大浴場も含め清潔感は抜群でした。

 

 一方、お寺の外にもさまざまなアトラクション(のようなもの)が用意され、まさにテーマパークと言っても過言ではない空間です。賽銭箱も数えきれないくらい設置してあります。俗世間から一番距離があるような、どちらかと言えば神聖と思われる場所で、かなり強めの「商売」を感じました(私は嫌いではありません)。

 

 お坊さんはお坊さんでありながらサービスを販売するセールスマンであり、雑務をこなす作業者であり、サービス(説法や修行など)を提供するスペシャリストでもあります。ただお経を読むだけの存在ではありません。

 

 私たち経営者としても、この経営姿勢には見習うべき点が多々あります。お寺だからと言って単なる待ちの姿勢ではなく、多様なサービスを考え、実践し、かなり積極的に攻めています。もちろんやりすぎは禁物ですが、どの商売でも遠慮ばかりしているとすぐに誰かがそのポジションを奪いに来ます。

 

 今回、このお寺では商売の原点を見たような気がしました。皆さんの会社でも、もっと売上に対して貪欲になってもいいのかもしれません。私は心身を整えるつもりで訪れた場所で、むしろ普段よりも人間の欲を感じた経験となりました。本当、どんなことからでも学べますね。

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