ニュースの論点No.266 スマホ脳になっていませんか?

 「脳内ごみ屋敷に?スマホ依存がもたらす“脳過労”」2022530日、西日本新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「デジタル機器を休みなく使い続けると、大量の情報が絶え間なく流入し、脳内で整理されずに『ごみ屋敷』のようにたまり、『脳過労』の状態に陥る。すると物忘れやいらだち、抑うつなどの症状が起きる恐れがあるという」としています。

 

 心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。はっきりとした症状はないにしても、スマホをチェックしないと不安になったり、仕事への集中力が明らかに低下していたり、休みなくSNSや動画サイトを見続けて眠られなくなったり…。程度の差はあれど、私も含めて多くの人が経験していることだと思います。

 

 デジタル機器と距離を置く「デジタルデトックス」も頻繁に耳にするようになりました。デトックス(解毒)をしなければならないくらい、本当に多くの人がスマホをはじめとしたデジタル機器に依存している状態となっているのでしょう。

 

 2020年、スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセンが上梓した「スマホ脳(新潮新書)」は2021年のベストセラーになりました。

 

 書籍によれば、「わたしたちは12600回スマホに触り、10分に1回手に取っている」「世界のIT企業のCEOやベンチャー投資家たちの多くは、わが子のデジタル・デバイスへのアクセスを認めていないか極めて厳しく制限している」「フェイスブックの『いいね!』の開発者は、『SNSの依存性の高さはヘロインに匹敵する』と発言している」

 

 他にもセンセーショナルな内容が網羅してあり、著者はスマホの問題点について科学的根拠を元に指摘しています。スマホはドラッグ同様、使い方を間違えばまさに依存症になりえる危険性を持っているのです。

 

 とはいえ、すでにスマホなしでは生活できないくらい、スマホは必需品として日常に入り込んでいます。いきなり「使わずに済む」ような状態にするのは難しいでしょう。この点、利用者としてまずすべきは、「危険性を知ること」だと思います。

 

 これまでは便利な側面ばかりがアピールされ、有害な面はほとんど触れられませんでした。しかし、現在ではさまざまなデータが集まり、研究がなされ、「不都合な真実」も取り沙汰されるようになりました。これらの事実を知るだけでも、ある程度の抑止効果が見込めるのではないでしょうか。

 

 一方、私たち経営者は、利用者に対しコンテンツを提供する側でもあり、ネット上でもさまざまなサービスを展開しています。HP(ホームページ)やLP(ランディングページ)はもとより、SNS、動画、追跡型広告などを使い分けながら、ネットで認知度を上げ、ネットでサービスを完結できることも多くなりました。

 

 便利にはなりましたが、その一方で顧客の「何か」を蝕んでいる可能性はあります。スマホにおける依存性はその一部でしょう。結局、どこまでいっても人間はリアルな存在です。衣食住をはじめとした日常の生活はすべて「リアル」に行われています。

 

 DX(デジタルトランスフォーメーション)がもてはやされている昨今、効率性や利便性の追求が加速しています。もちろんいいことではあるのですが、何事もプラス面があればマイナス面もあります。

 

 そのバランスを失えば、心身の健康はおろか社会全体にも悪影響を与えます。私たち経営者は常に「過ぎたるは猶及ばざるが如し」を頭の片隅に置きつつ、何かを、誰かを犠牲にするビジネスにならないよう、多面的な視点を持った経営判断をしていきたいものです。

    今週の経営コラムを無料でお届け 無料メールマガジン登録はこちら
    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!

    コメント

    コメントする

    目次