
「『顧客体験価値』、丸亀製麺が首位」2022年7月6日、日経MJはこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「ブランドコンサルティングのインターブランドジャパンは、一般消費者の視点から見たブランド価値を数値化した『顧客体験価値』の日本企業ランキング2022年版をまとめた」としています。
「首位の『丸亀製麺』は店舗スタッフの対応などニーズを理解しているという評価が高かった」とのこと。ちなみに2位以降は、星野リゾート、ANA、スシロー、味の素、ディズニー、コメダ珈琲店…と続いています。
ランキングに挙げられた企業は、理念やコロナ禍における経営姿勢が支持されています。人気のある企業には、やはり相応の「理念」やそれに基づく「行動」がしっかりとなされているのが改めて理解できます。理念の策定やその浸透については、ここで話すまでもなく経営で最重要な仕事です。
ただ、理念についてはこれまで何回も触れていますので、今回は「ブランド」にフォーカスしたいと思います。「ブランド」については人の数だけその定義があり、ブランドのつくり方などのノウハウも世間に溢れています。現在は「ブランド」が簡単に使われ過ぎているのかもしれません。
この点、一橋大学の楠木健氏が提唱している、「ブランディング(Branding)」より「ブランデッド(Branded)」という考え方に私は共感しています。
楠木健氏の言説をまとめると、「ブランディング」はまさに行動そのもので、近年の企業は手っ取り早くブランドをつくりたがり、すぐに広告を打ち、ツイッターやインスタを駆使し、バズらせたりしながら短期間でうまいことブランドにしてやろうと目論見ます。これがブランディング。
それに対して「ブランデッド」は、毎日の商売で、顧客との相互作用の積み重ねの中で信用が積み重なり、振り返った時に“思いがけず”ブランドになっている。あらゆる企業努力の蓄積で、事後的に生じる「ご褒美」的な状態がブランデッドとしています。
そもそも強い商品やサービス、商売があってはじめてブランドになるにもかかわらず、商売を強くしたいからブランディングしようというのは本末転倒だと楠木氏は言います。私も氏の意見に完全同意します。
店舗ビジネスでも、ブランドロゴ、パッケージ、店舗デザイン、制服、奇をてらった味や見た目、あるいは変なキャラクターやいいねの数は単なる飛び道具であり、それらはブランドとは相反するものです。必要ないとはいいませんが、いくら瞬間風速を高める施策を連発しても、深い信頼関係のもとに成り立つ重厚なブランドにはなりえません。
経営者の皆さん。「ブランド」を獲得するためにはまず「強い商売」と、「信用を積み重ねる絶対的な時間」が必要です。この因果関係を理解し、安易なブランディングに走らないようにしましょう。お客様は何も言いませんが、その本質を見抜いています。

コメント