ニュースの論点No.276 適正価格などない

 「一杯2000円のつけ麺が物議 プライシングの専門家がそれでも『安い』と話すワケ」202284日、ITmediaビジネスONLINEはこう題した記事を掲載しました。記事によれば「神奈川の人気ラーメン店『らぁ麺 飯田商店』の価格改定がSNS上で物議を醸している。そのワケは、ラーメンが1600円、つけ麺が2000円と、従来のラーメン業界からするとかなり強気ともいえる設定にある」としています。

 

 記事にも記載がありますが、ラーメン業界には「1000円の壁」が存在します。ラーメンの価格が1000円を超えると「高い」と感じるお客が増え、売れ行きが鈍くなるという壁です。それと比較すれば、2000円という価格は相当高く感じるのではないでしょうか。

 

 いわゆる「相場」というのは、どんな商品・サービスでも存在します。ラーメンで言えば、1000円が上限で、その少し下あたりが相場という感じでしょうか。記事では「適正価格」という表現が使ってありましたが、商品やサービスに適正価格などありません。「大体こんなもんかな…」「これくらいなら払えるかな…」と消費者が想定する相場があるだけです。供給者側はどんな価格を付けてもいいのです。

 

 ただし、それが支持されるかどうかはお客次第です。値付けは自由ですが、購入する決定権はお客にあります。ラーメン2000円は相場からすれば「高い」のですが、それに納得して買ってくれるお客がいれば何の問題もありません。逆に誰からも支持されなければ、価格を下げるか、立地やお客を変えるなどの対策が必要になります。

 

 ちなみに、必需品や日用品など、世の中に必要なものほど相場は安くなります。生鮮食品や飲料、水や電気などが高すぎると生活が成り立ちません。加えて、必需品の市場はニーズが安定しているので、競合が激しくなり、価格競争が始まって安いものが増えます。反対に世の中に不要なものは、参入も少なく、そもそも相場が形成されにくいため高い値付けが可能です。

 

 世の中に不要なものという書き方をしましたが、ここには趣味・嗜好品も含まれるので、必ずしも不要というわけではありません。むしろ、生活の質を上げるためには必要ともいえるものです。ただ、時間的、金銭的余裕がないとそこまで使えないことも考えれば、相対的には不要なものとも言えるでしょう。

 

 2000円のラーメンは嗜好品です。数百円のラーメンは日用品に近いでしょう。だからこそ倍以上の価格差があっても受け入れられるのです。この点、値付けは自由だと書きましたが、誰に、何を、どのように提供するかを決めると、自ずと価格帯は絞られてきます。

 

 何も考えず、ただ自分が儲かるために高値を付けるのは論外です。原材料が高騰したからと言い訳し、安易に値上げするのも顧客の理解は得にくいでしょう。何をすべきか。それは「価格以上の価値」を伝えることです。

 

 こだわりの素材や製法、希少性、効能や効果… お客は知らないことばかりです。価値が伝われば、納得してお金を出してくれます。経営者の皆さん。徹底的に価値を言語化し、自信を持って値付けをしましょう。

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