ニュースの論点No.291 自分用と他人用

 「眠る不用品『44兆円の宝』、メルカリで販売 愛知・蒲郡」20221121日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「愛知県蒲郡市は清掃工場に粗大ごみとして持ち込まれた不用品を、フリマアプリ大手のメルカリと組んで販売する国内初の取り組みを始めた」としています。

 

 すでに28品が売れたそうで、不要になったマンホールの出品も始めたとのこと(愛好家がいるらしいですね)。蒲郡市の目的は収入ではなく、ごみを減らしてもらう意識づけとしての意味合いがあるそうです。

 

 非常に良い取り組みだと思います。既存のプラットフォームを使い、最低限のお金で新たなことを実践する。しかも収入ではなく環境意識を高めることを狙った取り組みです。まさに行政が実施する意味があることだと思います。

 

 同記事では「2021年のメルカリの調査では『過去1年間使用してない日本の家庭に眠る製品の価値』は44兆円に上る」とあります。使えるけど使っていない価値あるものが金額にしても相当数眠っているのです。

 

 粗大ごみではなくとも、ごみ置き場にはさまざまな「使えそうなもの」が捨ててあります。その人にとっては「不要なもの」ですが、他の誰かにとっては「必要なもの」かもしれません。それをつなげるのが、フリーマーケットやリサイクルショップ、今ではメルカリなどのアプリです。

 

 捨てる神あれば拾う神ありとの言葉通り、「こんなものも?」と驚くくらい、「それ」が欲しい人がいるのが可視化され、実際の取引につながっています。

 

 若年層、いわゆるZ世代では、「リセール」を前提にした買い物が浸透しているそうです。特にある程度値段の張るものは、「使った後に売れるもの」が選ばれる理由の多くを占めると見られています。

 

 少し話はズレますが、Z世代ではなくても、「車」については基本的に買い替える前提なので、やはりリセールを考えた消費行動が誘発されます。結果、人気のある型で、白や黒など定番色を選ぶ人が多くなり、街中で同じような車を見かけるようになります。

 

 一方で、一部のマニアだけが欲しがるような「希少で珍しいもの」はリセール価格が高額になる傾向があります。両極端になりますが、リセールを考えれば「皆が欲しがる定番品」か、「一部マニア向け希少品」を選べば間違いないという結論です。

 

 一番リセールしづらいのは、「自分好みにカスタムされたもの(自分用消費)」で、所有者が相当な有名人や人気者でないかぎり、誰からも見向きもされないでしょう。

 

 ただ、リセールを考えず、自分が好きなものを追求する消費は最も「満足度」が高くなります。「高く売れるからこれを選んだリセール消費(他人用消費)」は、極端に言えば判断基準が他人にしかない妥協の産物です。

 

 「自分用」、「他人用」に良し悪しはなく、優劣もありません。誰でも状況に応じて使い分けていると思われます。もっとも、環境に配慮は必要ですが、「満足」は人生における幸福を構成する指標の一つでもあります。自分の中でどうバランスを取るのか、自分の頭で考えて消費行動を取りたいものです。

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