
「百貨店売上高、コロナ禍前の9割まで回復…『外出増え衣料品や化粧品が伸びた』」2023年1月25日、読売新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば「日本百貨店協会が24日発表した2022年の全国百貨店売上高は4兆9812億円となり、既存店ベースで前年比13.1%増と2年連続で増加した」としています。
売上が伸びた背景としては、外出機会の増加による衣料品や化粧品ニーズの高まり、また昨年10月に実施された水際措置の大幅緩和によるインバウンド客の増加が挙げられています。「特に韓国や台湾、香港などアジアからの来店客」が増えており、時計やバッグなど高額品が人気を集めているとのこと。ここに中国客が戻れば、さらなる売上へのインパクトが期待できると関係者は話しています。
私が経営するアパレル小売会社も百貨店に出店していますので、コロナ禍が徐々に落ち着きを取り戻しつつあり、それによって客足が戻っていることを直に感じています。この3年、姿を見なかったお客様が久しぶりに来店された話は最近になって特に増えました。外国人客についても、観光地や駅、商業施設などでかなり姿を見るようになりました。
要するに「元の姿に戻ってきた」のです。コロナが5類に移行されれば、さらに「コロナ前の状態へと戻る力」が強まるでしょう。何のことはない、当たり前の話だと思います。これまで地球の歴史では、世界各地でパンデミックや地震、風水害など様々な危機が襲い掛かりましたが、いずれも時と共に被災前のような日常の生活に戻っています。
もちろん、すべてが戻るわけではなく、対策によって生まれた新たな文化が根付くこともあります。しかし、大半は元の状態に戻っていくでしょう。ただし、です。コロナの爪痕は確かに残り、「コロナがなかった未来」とは似ているようで全く違う世界になっています。
コロナ禍は個人の価値観を明確にしました。あらゆる「危機」はその人の本質を見せてくれます。表面的な日常生活は戻ったように見えますが、人と人の関係性は「個人の価値観が明確になった」ことで良くも悪くも変わっています。この点を見誤ると、経営の舵取りを間違うことにもなりかねません。
「ポストコロナ」はコロナ禍で起きた表面的で一時的な変化をただ継続するのではなく、かといって単純に元に戻すこともなく、根本にある個人の価値観をベースに対応していきましょう。
いつの時代も、生き残るのは「人の本質」をついた会社、経営者です。コロナ禍はこの点で大きなチャンスと捉えることができます。安易な現状維持が不可能になったうえ、個人の価値観がむき出しになったのです。経営者として、単純に元に戻すのではなく、ぜひこの機会を生かしていきましょう。

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