
最近、「値上げ」のご相談が増えています。仕入や光熱費、人件費が高騰し、さすがに今の価格ではやっていけない。いくらぐらいなら顧客も離れず利益が確保できるか。大半はこんな感じで相談を受けます。
しかしながら、対応に窮することが多いのも事実です。なぜなら、特に小規模な事業者さんで「現状が何も把握できていない」ことが多いからです。材料費や粗利、粗利率はもとより、何なら売上や客数、商品数などの実績が把握できていないことも珍しくありません。
結局、値上げのアドバイスをしようにも具体策が提案できない。正確な数字は申告が済むまで確定しない状態です。現時点で儲かっているのかどうかも不明(お金はない)。もちろん、誰が何をどれくらい購入したのかもわかりません。
ちなみに今の価格はどう決めたのか聞くと、比較的多い回答が「相場感」です。近隣店舗やネットなどを参考に大体これくらいかな…と、ある意味適当に決める。ダメではありませんが、商売のやり方としては拙いと言わざるを得ない。
少なくとも「原価」がどれくらいかかっているのか。ここがわからないと話になりません。加えて、市場の相場感や同様のサービスレベルを提供する他社の値付けを知る。さらにお客様が商品やサービスに対して支払いたいと思う最大の金額(支払意思額WTP:Willingness to Pay)はいくらなのか。
つまり、価格設定には「自社、競合、顧客」の3Cの視点が必要なのです。それなのに、原価も支払意思額もわからず、ふわっとした相場感だけで値付けをしても失敗は目に見えています。
この点、原価は材料費や仕入れなどの経費を精査すればわかります。同レベルの競合価格も調べればある程度わかります。問題は顧客の支払意思額。
これはヒアリングやアンケートをとっても正確な数字はわかりません。なぜなら、顧客は本音を言ってくれないからです。
そもそも、顧客自身も実はよくわかっていません。同様のサービスや過去の経験などで「アンカリング」され、本当はもっと支払えるのにそこに引っ張られてしまうことも多いのです。
ではどうすればいいか。解決策のひとつは「価値を伝える」ことです。「そんなのは当たり前だろう!」と言われるかもしれませんが、これができていない会社が非常に多い。体感では8割以上ができていない。
価値がわからなければ、似たような安いものを探して済ませます。あなたの商品は誰のどんなお困りごとを解決するのか。それを使えばどんないいことがあるのか。そもそも私に合う商品なのか。
つまるところ、価値とは「快をもたらすこと」です。要するに論理ではなく感情。顧客の感情を動かす価値を伝えなければ、誰も納得して支払うことはありません。
あなたの商品・サービスを使うと、どんな「快い状態」になれるのか。明確な言語化がなされているでしょうか。お客様が求めているのは「性能のすごさ」ではなく「快の感情」です。今一度、あなたの商品の価値を見直してみましょう。

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