コラムNo.863 コンビニか自炊か

皆さんはAIを使っていますか?

 

現代のビジネスでは、AIによって情報やアイデアを即座に手に入れられるようになりました。まるで忙しいときについコンビニ弁当を買ってしまうように、誰でも手軽に文章や分析を得られるのが魅力の一つです。

 

ただ、この「コンビニご飯」的なAI丸投げだけに頼っていると、自分で食材を切って煮込む自炊のような深い思考プロセスが抜け落ちてしまいます。

 

たとえば、戦略立案や新規事業の構想といった重要な仕事は、自分で問いを立て、仮説を練り、情報を選び取って組み立てる「自炊」の時間をしっかり確保したいところです。

 

ここを省略してAIにまかせると、見かけのスピードは上がるものの、味付け(論理の深み)や栄養(理解と記憶)は薄く、長期的には思考力の低下という認知的負債を抱え込むリスクがあります。

 

この点、マサチューセッツ工科大学の実験によれば、AIに思考を任せることで得られる即時性は魅力的ですが、その代償として記憶・批判的思考力・創造性を毀損するリスクがあると結論付けられています。この負債は、将来的な学習効率や問題解決能力の低下として利息の形で返ってくるのです。

 

一方で、全てを自力でやるのも現実的ではありません。自炊(自力思考)やコンビニご飯(AI丸投げ)の間にくる「半調理済みキット」的な検索サイト利用+編集をうまく活用するのもポイントです。市場データや過去事例を検索で手早く集めたら、自分なりの仮説や経験をたっぷり加えて料理を仕上げる。

 

こうして食材(情報)を少し加工しつつ、自らの味付け(思考)を残すことで、効率と深みのバランスを取ることができます。

 

経営者は特に「緊急対応」や「会議」に追われ、自ら考える時間を奪われやすい立場にあります。しかし、コンビニご飯ばかりでは体力(思考力)はじきに落ちてしまいます。週に一度、あるいは月に一度でも構いません。じっくり「自炊」に取り組む時間をスケジュールに組み込むことが非常に重要です。

 

時には現場を離れて頭を整理する時間を確保し、自ら問いを立てて仮説を描く。これ自体が最高のご馳走になります。

 

さらに、組織としてはAI利用ルールを決め、例えば「定型レポートはAI丸投げ可」「戦略検討は必ず自力+半加工品で対応」といったガイドラインを設けるのがおすすめです。

 

同時に、問いづくりやAI出力の確認をチーム全体でレビューし合う場を週単位で持つことで、単なる効率化ではなく「組織としての思考力」も底上げできます。

 

まずは、経営者自身がモデルとなって「自炊する姿勢」を見せましょう。自ら思考の流れを公開し、チームと一緒に振り返ることが、最も強力な学びの土台となります。

 

AIも検索も立派な厨房器具ですが、最終的に味を決めるのはシェフ自身。経営者が包丁を握り、鍋を熱する。そんな姿勢が、組織の思考文化を豊かに育むのではないでしょうか。

 

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