ニュースの論点No.866 終わり良ければ総て良し

「ウーバーは客を騙している? 満足度操作の心理テクニック」2025622日、ビジネス+ITはこう題した記事を掲載しました。記事には、いわゆる行動経済学的なアプローチが書かれています。以下、最近の私の経験をもとに、わかりやすくお伝えします。

 

二次会で入った小さなバル。席に着くとメニューはなく、価格も聞かされないまま、「こちらがおすすめです」とグラスが運ばれ、頼んでいない前菜まで並びました。

 

楽しく盛り上がっているうちは気にならなくても、最後に提示された伝票の数字を見た瞬間、場の空気は一変します。記憶に残ったのは料理の味ではなく“知らされなかったこと”への違和感でした。

 

帰路に乗ったタクシーでも同じ感情が芽生えました。運転手は道を把握しておらず、こちらが示す目印も通じない。迂回と確認を重ねるうち、メーターは回り続け、到着時には深い疲労感だけが残りました。私たちは“移動”そのものより、“どう転ぶか分からない時間”にストレスを感じるのだと痛感します。

 

行動経済学者が指摘するピーク・エンドの法則によれば、人は体験の「最高潮」と「最後」で全体を評価します。メニュー不提示による不透明さと、割高な会計という負のピーク・エンド。タクシーでは行先不確実という不安がピークとなり、到着時の安堵では埋めきれませんでした。

 

顧客満足は“何を受けたか”より“どう見せられたか”で決まる。ウーバーがUIで待機ストレスを下げたのは、まさにこの逆転の発想です。

 

透明性を前倒しすることは、小さな店でも今すぐできる投資です。「本日のコースは六千円」「追加は一品千円以内」。黒板にひと言書くだけで安心が生まれます。タクシーなら新人向けに主要スポットを音声案内するアプリを用意し、「あと○分で到着します」と視覚化すれば、運転経験の浅さを補えます。

 

終わり方も軽視できません。請求書を渡すときの一言、降車時の振り返り確認。わずか二分の演出が体験全体を塗り替えます。スタッフ教育やマニュアルを“ラストシーン重視”に組み替えるだけで、平均点は驚くほど跳ね上がるはずです。

 

あなたのビジネスに「見えない不安」は潜んでいないでしょうか。価格、工程、到着予定。隠れている情報があるなら、まずは可視化してみてください。

 

次に、最後の接点を磨き込み、「ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます」と言える終わり方を設計しましょう。そして新人や機材不足は、チェックリストやガイドツールで手当てする。それだけで顧客のストレスは大幅に減り、リピートが生まれます。

 

顧客は待たされることより、「知らされないこと」に怒る。必要なのは巨額の設備投資ではなく、小さな透明性と丁寧なエンド体験です。今日から“見えないもの”を見せる工夫に取り組んでみませんか。

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