ニュースの論点No.259 最近、百貨店行きました?

 「百貨店、ようやく慣行修正」2022410日、日本経済新聞はこう題した記事を掲載しました。記事によれば、「百貨店が業界独自の慣行を見直す。各社で異なっていた納品依頼の伝票類を2023年度から標準化し、百貨店ごとの専用値札も2025年までに全廃する。」としています。

 

 弊社も百貨店にアパレル店を出店していますが、百貨店には独自の慣行が山ほどあります。今回のニュースで言えば、売り場で特に手間がかかるのが百貨店独自の値札の付け外しです。納品があれば、取引先ごとに登録された値札(要発注。これも面倒)をその度に付ける必要があります。店舗間移動で入ってきた商品に他の百貨店の値札が付いているのは日常で、たまに外し忘れることもあります。見つかったら烈火のごとく怒られます。

 

 返品する時は、伝票に百貨店担当者の押印が必要です。これが相当手間で、百貨店担当者がすぐには見つからないのです。不思議なことに、必要な時にはなぜかいません。担当者が休みの場合は、代わりの人間を別のフロアまで探しに行かなければなりません。下手をすると返品できないことあります。

 

 レジもなかなか大変で、百貨店は集中レジと呼ばれる、フロアに数台専用のレジがあり、レジ担当者が常駐しています。販売スタッフはお客様のお買い上げ商品タグと現金やクレジットカード、友の会カードなどを持ち、リーダーで読み込ませながらレジ担当者とのやりとりをします。二人がかりでレジ処理を行うのです。

 

レジはフロアに数台の為、ほとんどの店からは距離が離れています。繁忙期は台数が増やされますが、普段は稼働レジが1台の場合もあります。タイミングによっては、レジに行列ができます。待っている間、販売スタッフは何もできません。お客様も放置です。そんな中、暇そうなマネージャーらしき百貨店の人間がウロウロしていますが、特に何もしません。

 

 一事が万事そういう状態で、基本的に数十年変わらない日常です。それが当然になっているため、百貨店の人間はおろか、店舗スタッフも誰も疑問に思わない。すべてが百貨店側の都合であり、お客様に負担を強いるだけで、プラスになっていないのに誰も何も言いません。

 

 今回取り上げられた独自規格の伝票類も、取引業者にとって余計な負担がかかるだけです。それがようやく修正されるとのこと。変わらないよりはマシですが、すでに沈みゆくタイタニック号の中で、椅子やテーブルをきれいに並べなおしているような状況ではないでしょうか。

 

 百貨店という業態は一時期必要とされ、支持されていました。しかしこれからの時代、どれだけの価値を提供できるかは疑問符が付きます。売らない店舗の導入や不動産業への参入など新たな取り組みはなされていますが、百貨店という事業自体が根本的な変革を求められているのは間違いありません。

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